第21話 「悪夢」

ナレーション「なかなか話が前に進まないVレンジャー。今度は少しは発展があるのか。これは、正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」

 坂本の秘密工場。
 寝ている坂本の枕元で携帯電話が鳴る。寝ぼけ眼でそれを取る坂本。
坂本「はい」
「俺だ」
 ベッドの上に体を起こす坂本。
「マッチさん」
「坂本」
「はい」
「今まで、よくやってくれた。ありがとう。もういいから」
「いい、というのは?」
「新しい手下ができたから、君はもういいよ。鉄板DISHも一緒にやめて貰うから」
「そ、そんな、マッチさん」
「じゃ、そういうことで」
「マッチさん、ちょっと、マッチさん」
 一方的に切られた電話に、坂本は呼びかけ続ける。

 鉄板DISHのアジト。
 電話を握って茫然としているジョー。
マボ「どうしたの、リーダー」
ジョー「クビになってしもうた」
タツヤ「クビって?」
ジョー「俺らお払い箱や。マッチさん、ほかの連中使うって」
タイチ「冗談じゃないよ。ちょっとマッチさんのとこに行ってかけあってみようよ」

 マッチの屋敷。
 広間に立つ鉄板DISHの五人を前に、マッチがにこやかに、
「もう十分やって貰ったから。いつまでも同じことの繰り返しじゃ飽きられちゃうし」
ジョー「そんな。俺ら一生懸命やりますさかい」
マボ「俺たちより使えるのなんていないでしょう」
マッチ「そうでもないよ」
タイチ「どんな連中なんですか、新しいのって」
マッチ「ここに呼んである。出ておいで」
 マッチが声をかけた方を向く鉄板DISH。その前に歩み寄って並ぶ若い五人の男の後ろ姿。
 鉄板DISHはその5人をにらみつける。

 思いっきり御殿のとんでもなく広い庭。
 大袈裟と変身したVレンジャーがそろっている。その前にみのさん。
みの「いやあ、今日集まって貰ったのはね、ほかでもない、みんなよくやってくれたけど、もう、みんなにはゆっくりして貰おうと思って」
大袈裟「ゆっくり、と言いますと」
みの「君たちの代わりが見つかったんだよ」
井ノ原「代わり?」
みの「そう、若くって、ピッチピチなのがね」
森田「俺たちより若い?」
みの「そうなんだよ。今、紹介するから」
 みのさんが合図すると、物陰から五人の若者(大野、桜井、相葉、二宮、松本)が現れ、Vレンジャーの前に一列になって立つ。
 二列に並んで向き合う大袈裟プラスVレンジャーと若者五人。
みの「紹介しよう。彼らが、こんどうちの会社の宣伝をして貰うことになったアラツだ」
三宅「アラツ?」
みの「そう。これからはこの五人にやってもらから」
岡田「ちゅうことは……」
みの「そう、君たちはもういいから」
大袈裟「いいって、そんな」
井ノ原「クビかよ」
 そこに突然坂本が現れる。Vレンジャーも大袈裟もみのさんもアラツも、驚いて一歩さがる。
大袈裟「さ、坂本くん!」
坂本「長野、いや、大袈裟。俺は今日からお前の仲間だ」
あい「何よ急に」
坂本「何でもいい。突然クビにしやがって」
井ノ原「リストラされたのか」
坂本「うるせえ。とにかく俺はお前たちと一緒になる」
大袈裟「でもね、坂本くん……」
坂本「どうした」
森田「俺たちもクビになったんだ」
坂本「え?」
三宅「向こうの五人が僕たちの代わりになるんだって」
 アラツをにらみつける坂本。余りにも真剣な顔つきに、アラツは一瞬ひるむが、
大野「先輩、あとは若い僕らに任せてください」
桜井「まだまだ半人前ですけど、若さでがんまります」
相葉「若いから苦労も平気です」
松本「何があっても若さで切り抜けます」
二宮「とにかく若いんだから、何かあっても大目に見てください」
坂本「いちいち若い、若いって言うんじゃない! ふざけるな! 数少ないレギュラーなんだ、お前らなんかに渡してたまるか」
岡田「そうや、そうや」
あい「わたしはいいわよ」
 驚いてあいを見るほかのVレンジャーと大袈裟、坂本。
あい「だって、最近ほかの仕事が忙しいし……」
坂本「よし、わかった。ほかにもレギュラーがいっぱいあるやつには消えて貰おう。今日から、俺がお前の代わりだ」
 あいが後ろに下がると、あいがいた位置に坂本が立ち、Vピンクに変身する。
岡田「う、気色わる……」
 坂本は気にせず、アラツに向かって、
「おい、お前ら、俺たちと勝負だ。勝った方がこの番組のレギュラーだ。いいな」
 頷くアラツの五人。

 病室。
 顔を残して体中を包帯でぐるぐる巻きにされた坂本がベッドに横たわっている。
 二人部屋だが、隣は空。
坂本「アラツのやつら……。畜生、もう少し若ければ……」
 そこの新しい患者が運び込まれる。見ると、同じように顔以外は包帯でぐるぐる巻きのジョー。
坂本「ジョーじゃないか」
ジョー「坂本はん」
坂本「どうしたんだ」
ジョー「なんや、急にマッチさんから電話があって、クビや言われてもうて。慌てて俺ら五人でマッチさんとこに行ったんや。もう少し使って貰お、思うて。そしたらな……」
坂本「向こうに若いのがいたんだろう」
ジョー「ようわかるな」
坂本「そいつらが、お前たちの代わりだっていうわけだ」
ジョー「そうなんや。でもな、俺らも仕事減らすの嫌やし、そんなら勝負して決めよ、ちゅうことになってな」
坂本「戦ったわけだ」
ジョー「その通りや。でもな、向こうの五人、マジカル・アカデミーちゅうんやけど、結構実力があってな。ボコボコにされてもうたのや」
 そう言って涙を拭くジョー。
 坂本とジョーは、互いにベッドから手を伸ばし握り合う。
坂本「なんで俺たちばかり……」
ジョー「こないなことになるんやろ……」
 手に手を取って涙にくれるふたり……。


 坂本の秘密工場。
 闇の中、ベッドの上で、ガバッと身を起こす坂本。
「夢か……」
 額の汗をぬぐう坂本。
坂本「なんて縁起でもねえ夢なんだ」

 Vレンジャー本部でもなく、坂本の秘密工場でもない、研究室のような部屋。
 巨大モニターに、廃墟が映っている。それを見ている坂本と長野(カツラ無し)。
坂本「ちょろいもんだ」
長野「僕らが組んだら無敵だよ」
坂本「この次は、もう少し楽しませてもらいたいな」
長野「全くだ。こっちの武器が強すぎるのかな」
坂本「次は、もう少し弱いので行こうか」
 そこへ天から声がする。
「博士、博士」
 驚いて上を見上げる坂本と長野。
長野「何だろう」

 Vレンジャー本部。
 机に突っ伏して寝ている大袈裟(カツラつき)を森田が起こしている。
「博士、博士」
 ハッとして体を起こす大袈裟。
大袈裟「夢か……」
 見回すとVレンジャーの五人がそろっている。
 大袈裟は一度カツラをはずし、額の汗を拭く。そして、手にしたカツラをじっと見る。
三宅「博士、そんな寝方してると風邪引くよ。大丈夫?」
大袈裟「あ、ああ。何か、変な夢を見ていた」
森田「武器ができたっていうから、見に来たんだけど」
大袈裟「ああ、できてるよ。試しに一つ作ってみた」
 大袈裟は近くにおいてあった筒を手にする。
大袈裟「この間、ロボットに乗っていないときも戦えるような武器が欲しいと言っていたやつだよね」
 頷く森田。
大袈裟「それで、こういうのを一つ作ってみたんだ。どうだろう」
と言って森田に筒を渡す。
森田「何だよ、これ」
大袈裟「みんな、ちょっと離れて」
 森田から離れる五人。
森田「な、なんだよ。危ないのかよ」
大袈裟「念のためだ。いいか、それを握って、それが剣になっていると思うんだ」
 言われた森田は、筒を握り、スイッチを押して何か思い浮かべる。そのとたん、筒から光の棒が伸びる。
森田「おおっ!」
大袈裟「それが新しい武器、Vセーバーだ」
井ノ原「Vセーバー?」

ナレーション「新しい武器も登場し、少しは話が進んだVレンジャー。大袈裟博士の見た夢は何を意味するのか。謎は謎を呼ぶ新展開。行け、Vレンジャー、底抜けにステキな戦士たち」


TO BE CONTINUED!


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