第15話 「今日の敵」

(by dahliaさん)


(映像)倒れたブロッコ・ロボを巨大モニターで見つめる5人。そして物憂げな表情の大袈裟。

ナレーション「坂本の攻撃により倒されてしまったブロッコ・ロボ。Vレンジャーに勝ち目はあるのか?そして大袈裟の隠された過去とは?
勝つのは正義か?それとも悪なのか?これは、正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」

研究室。
大袈裟と5人が丸テーブルを囲み座っている。大袈裟はカツラを外し、茶色の髪。
森田「さあ、話してもらおうか。あんたと敵がどういう関係なのか」
大袈裟「……それよりまず僕の事を話した方がいいだろう。その方が君達も納得するだろうし」
井ノ原「まあな」
大袈裟「僕の本当の名前は長野博。『大袈裟』っていうのは高校の時のニックネーム。学歴は大学卒業まで。年は一応26かな」
三宅「にじゅうろくぅ?!見えないよぉ!」
大袈裟「よく言われる。で、本題へ行こうか」
5人は顔が更に真面目になる。
大袈裟「敵の総大将と思われるのは坂本昌行。僕の大学時代の同級生、というかパートナーだ」
あい「パートナー…」
大袈裟、頷くと話を続ける。
大袈裟「彼は僕と同じ研究室で、僕と2人協力して研究、というか開発に取り組んでいた。そのうちの1つが、彼がニセのブロッコ・ロボを作り出した意念具現化装置だ」
岡田「意念具現化装置?」
大袈裟「簡単に言ってしまえば自分の想像したものが現実の物になる機械のこと。もともとは僕と2人で開発を進めてたんだけど、完成する前に卒業がきてしまったんだ。だから個人でもいいから完成させよう、という話になって未完成のデータを2人とも持っていた。僕は坂本くんほど頭が良くないから結局、ブロッコ・ロボの攻撃用のものしかできなかったけど、きっと坂本くんは全てを完成させてしまったんだと思う」
森田「それを悪事に使ってんのか?」
大袈裟「そう、らしいね」

一同は黙り込んでしまう。その沈黙を破ったのは岡田。

岡田「……壊れたブロッコ・ロボはどうするん?」
大袈裟「それなら心配ない」
そういって隣の部屋へ5人を案内する。
井ノ原「ここってブロッコ・ロボの格納庫だろ?」
大袈裟「もう1つ隣」
すみにある茶色のドアをあける。すると5人の視界にオレンジ色の足が飛び込んできた。
井ノ原「こ、これは?」

そこにあったのはオレンジ色の巨大ロボット。基本的にはブロッコ・ロボと変わりはないが、顔が人参の形になっている。

あい「今度は人参?」
大袈裟「そうだ、今度はカロチン・ロボという。操作の仕方はブロッコ・ロボと一緒だ。もし次に坂本が現れたらこれで戦うといい」
三宅「ってことは、あのパスワードも変わんないの?やだよぉ、おれ」
大袈裟「しょうがないだろ?」

突然警報が鳴り出す。大袈裟はモニターで敵を確認すると、すぐ5人の所へ戻ってきた。

大袈裟「またニセのブロッコ・ロボが現れた。性能、というか、攻撃の威力はブロッコ・ロボより数倍パワーアップさせてある。君達が負けることはないんだ!」
井ノ原「よっしゃ、リベンジだ。やってやろうぜ!!」

5人は変身し、梯子を上り始める。が、森田はもう1度下まで下り大袈裟と向き合う。

森田「博士、いいのか?」
大袈裟「何が?」
森田「このまま戦っていけば、いつか坂本を倒さなきゃいけない日が来る。いや、きっと近いうちにその日は訪れる。それでもいいのか?」
大袈裟「……シオマネキを見た日から、覚悟していたよ。坂本くんは悪い事をしてるんだから、僕と君達が倒さなきゃいけないんだ。そうだろ?」
森田はフッと笑う。
森田「わかった。必ず倒そう」
岡田「お〜い、行くで〜」

全員が乗り込んだカロチン・ロボ。
井ノ原「ほんとブロッコ・ロボと変わんねぇなぁ」
森田「カロチン・ロボ、発進!」

研究室に戻った大袈裟。ズボンのポケットから何かを掴み出す。それは坂本が持っていたのと同じシルバーのクロスペンダント。


大袈裟の回想
大学の中庭・坂本と長野がベンチに腰掛けて話をしている
坂本「なあ、長野。俺たちはもう卒業だけどおまえはこれからどうするんだ?」
長野「んー、研究室に残るよ。坂本くんも残るんでしょ?」
坂本「……俺は親父を手伝いに行くよ」
長野「……そっか。じゃ、これ」
長野、クロスのペンダントを出す。
長野「僕たちがいつまでもパートナーでいられるように」
坂本「何だ、おそろいかよ。恥ずかしいなぁ」
坂本はそう言いながらもうれしそうである。長野が坂本の方に向き直る。
長野「約束して。あの開発の成果を良いことに使うって」
坂本「ああ。約束する」


大袈裟の回想終了。
大袈裟はペンダントを握りしめて研究室のモニターを見上げる。そこには街を破壊し続けるニセのブロッコ・ロボ。
大袈裟「……約束したじゃないか……」


街中。ニセのブロッコ・ロボと向き合うカロチン・ロボ。
岡田「坂本ぉ!借りを返しに来たでぇ!」
森田「行くぞ!ラーメン大好きツル!」
カロチン・ロボの頭にはリーゼントのようなヅラが。そして右手にはオレンジ色の拡声器。

三宅「何するの?」
森田「まあ見てなって」

森田「えー、そこの緑色の巨大ブロッコリー。止まりなさい!」

井ノ原「おい!何やってんだよ」
そう言うが、相手は頭を抱えてもがいている。

洞窟内でコード付きのヘルメットをかぶっていた坂本。もがき苦しんでいる。
坂本「くそっ、超音波か!うわっ!!」

カロチン・ロボのコクピット内。
井ノ原「ようし、今度はおれの番だ。ラーメン大好きツル!」
するとリーゼントの変わりにちょんまげ、そして拡声器の変わりに日本刀が握られる。

井ノ原「いくぜ、『必殺!拙者切り』!!」

井ノ原が剣を振り下ろした瞬間、ニセブロッコ・ロボの姿が消える。
大袈裟「よくやった!ニセブロッコ・ロボを倒したんだ!」
あい「きゃあ、やったわ!」


海沿いの道路。
ヅラをとった長野が海を眺めている。と後ろから「博士」という声。長野が振り向くとそこには5人の姿が。
岡田「今回は危ないところやったねぇ」
長野「うん。でも、いつまた新たな敵が来るかわからないから油断はできないよ」
森田「なぁ、博士」
長野「ん?」
森田「オレらがカロチン・ロボに乗らないで戦えるような武器、作ってくんねえかな?」
長野「っていうのは?」
森田「……またさ、坂本が人間のまま来たときに、何もできねえのって、イヤなんだよね」
井ノ原「それにさ、また、博士に助けられるのも何だしね」
長野は驚いたように目をぱちくりさせる。がすぐ笑顔を浮かべる。
長野「わかった。5人分つくろう」
健「おれ、強いのがいいな」
あい「私はかわいいのっ!」
長野「わかったわかった。じゃ、研究室に戻ろう」
そう言って歩き出す6人の後ろ姿。が長野がふと歩みを止めて、真っ青な空を見上げる。その横顔には寂しそうな表情が隠せない。


洞窟内。椅子に座って気を失ったままの坂本。誰かがそっとヘルメットを外し、坂本を抱き上げる。そこで、坂本は軽く目をあけた。その目にはぼんやりとした男の姿が写る。
男「約束通り、パワーアップしてきたで」
坂本は弱々しく笑うと再び意識を失う。男は目を閉じた坂本に微笑み返すと目の前のモニターに目を向ける。
男「待っとけや、Vレンジャー。この間のリベンジや!」


ナレーション「何とか窮地を脱したVレンジャー。が、新たなる敵の魔の手がすぐ側まで迫ってきているぞ!負けるなVレンジャー!、いけ!サイコーにナイスな戦士たち」

TO BE CONTINUED!


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