第14話 「昨日の友」

(by dahliaさん)

 (映像)海ではしゃぐ5人の戦士たちと研究室でモニターに向かう大袈裟。

ナレーション「休息のひとときを楽しむVレンジャーの5人。だが、そんな時も敵は動いていた。そして、この後Vレンジャー最大のピンチが訪れることを誰が予測できただろうか?
勝つのは正義か?それとも悪なのか?これは、正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」


大袈裟博士の研究室へと続く廊下。
5人が遊びにあき、研究室へと戻ってくる
井ノ原「にしても、最近敵が来ねぇよなぁ?」
三宅「きっとおじけづいて逃げ出したんじゃないの?」
あい「案外だらしないのねぇ」
森田を除く4人が声をたてて笑う。が森田だけは浮かない顔。

岡田「剛くん、どしたん?」

岡田が剛の様子に気付き顔を覗き込むようにして声をかける。

森田「おかしいと思わないか?」
井ノ原「何がだよ?」
森田「この前まであんなに頻繁に攻撃を仕掛けてきたのに、ここ何日か全くと言っていいほど敵が現れない。何かあるような気がするんだ」
三宅「考えすぎさぁ。それより敵が来ないうちにいっぱい遊んでおかなきゃ!」
あい「そうよ。また明日もどっか行こう?」
4人は口々に森田に声をかけるが、森田は相変わらず浮かない顔。
と研究室の前につき、ドアが開く
井ノ原「おーい、博士ぇ?」
と大袈裟を呼ぶが返事はない。大袈裟はモニターの前でうたた寝。
森田「博士?」
起こそうとして肩を揺らす。が大袈裟は起きず。

大袈裟「行くな、坂本くん」

大袈裟の寝言に剛はビクッと体を震わせる。そして、起こすのを諦め椅子に座ろうとしたとき、突然警報が鳴りだし、壁の赤いランプが点滅する。
大袈裟はガバッと飛び起きると巨大モニターを見つめる。5人もつられるようにモニターを見上げた。そこには

岡田「ブ、ブロッコ・ロボ?」

なんと、ブロッコ・ロボが街を破壊し始めている。
あい「何で?ブロッコ・ロボはここにあるじゃない!?」。
大袈裟「おそらく敵が作り出したんだろう。それも見た限りだけどかなり精密に作られている。こんな事ができるのは多分」
森田「『坂本くん』か?」
大袈裟、森田の言葉にびっくりする。がすぐ冷静さを取り戻すと大きく頷いた。

井ノ原「とにかく、黙っちゃいられねぇ。行くぞっ!」
岡田「よっしゃ、ニセモンだか何だかわからんけどやっつけたる!」

いつものようにブロッコ・ロボに乗り込む5人
森田「ブロッコ・ロボ、発進!」

大袈裟はモニターに目を向け、寂しそうな表情になってつぶやく。
大袈裟「もうやめようよ、坂本くん」

コードのついたヘルメットをかぶり、不気味な笑顔を浮かべている坂本のアップ。
坂本「いい加減にしようぜ、長野」


ブロッコ・ロボの中。
あい「早くあの『ニセブロッコ・ロボ』を倒さなきゃ!」
岡田「そうしないと街がヤバイことになるで!」
ブロッコ・ロボ、もう1体の『ブロッコ・ロボ』の前に立ちはだかる。
森田「いくぞ!ラーメン大好きツル!」
サッカーボールが現れ、ブロッコ・ロボはそれを蹴り飛ばす。


地下の秘密基地。コンピューターの前でコード付きのヘルメットをかぶっている坂本。不気味な笑いを浮かべている。
坂本「その手には乗るか」
言うが早いか『ニセブロッコ・ロボ』の手には大きな剣が。
そして、向かってきたサッカーボールをまっぷたつに切り裂く。


ブロッコ・ロボの中。
森田「何?」

そして『ニセブロッコ・ロボ』はそのまま走り出し、ブロッコ・ロボに斬りつける。
火花が飛び散るコクピット。
大袈裟「いかん、以前の戦いかたは既に相手に読まれている。何とか別の攻撃を!」

ブロッコ・ロボの中。
三宅「そんなことイキナリ言われても…」
井ノ原「俺がやってみる。ラーメン大好きツル!」
するとブロッコ・ロボの手に野球のバットとボールが現れる。
井ノ原「いっけー!しじみスペシャルだっ!!」
思いっきりノックバッティング。が相手は冷静に球を見極めそのボールも2つに切り裂いてしまう。
あい「どうしたらいいの?」

『ニセブロッコ・ロボ』は剣を振りかざし盛んに斬りつけてくる。そのスピードにブロッコ・ロボはかわしきれない。

大袈裟「みんな、1度引くんだ!引いて体勢を立て直そう!」
井ノ原「ちきしょう!」
井ノ原がそう叫んだ瞬間、ブロッコ・ロボが背中を相手に向けてしまう。


研究室
大袈裟「あっ!!」


コンピューター前の坂本。ニヤッと笑うとつぶやく
坂本「The・End」

『ニセブロッコ・ロボ』、ブロッコ・ロボの背中に剣を突き立てる。
その瞬間、コクピットの火花が激しくなる。
森田「ヤベェ!」
大袈裟「レッド、下にレバーがあるだろう?緊急脱出用のレバーだ。急いで引くんだ!」
森田がレバーを引くとコクピットだけが外れ、外に飛び出した。そして、路地裏に着地する。
コクピットから外に出て5人が上を見上げたその瞬間、ブロッコ・ロボが地面に倒れ込んだ。
三宅「ブロッコ・ロボが……」
呆然とする5人。そこへ、

坂本「Vレンジャーもオシマイだな」
黒いマントに大きな剣をかついだ坂本が歩み寄ってくる。5人は何か武器になるものはないかと探すが、小石1つも見あたらない。
井ノ原「誰だ?おまえは」
坂本「誰って、あの『ニセモノ』を作った張本人さ」
坂本が不気味な笑みを浮かべる。
岡田「それじゃあ、アンタが『坂本』なんやな?」
坂本「そうだ。あのロボットを作ったのは長野だろう?あ、今じゃ『大袈裟』と名乗っているんだったかな?」
あい「あなた、博士とどういう関係なの?」
坂本「さあ?その『博士』とやらにでも聞いてみな?」
三宅「てめぇ!」
坂本は5人との距離を更に縮めながら剣を構える。
坂本「さて、誰から倒してやろうか?……よしっ、そこの赤いボウズからだ!」
走り出した坂本、森田に斬りかかる。どうする事も出来ない4人。
井ノ原「森田!!」
井ノ原が叫ぶがどうにもならない。
森田がやられると思い目をつぶった次の瞬間、
『キーンッ!』
という金属音があたりに響く。森田が目を開けると目の前には茶色の髪に白衣という格好の男が鉄パイプで坂本の剣を受けていた。
男「もうやめよう、坂本くん」
坂本「……」
坂本は無言のまま男を見下ろす。そして口の端だけを上げる変な笑いを見せると剣を鞘に納めた。
坂本「ここで殺すも後で殺すも同じ事だ。だが、おまえらにもうブロッコ・ロボはない。大人しくここで引き下がるか?いずれにしろ、俺がこの世界をもらってやるから安心しな。ハッハッハッハ……」
そう高笑いをすると坂本は背を向け堂々と立ち去っていく。森田に駆け寄る4人。男は鉄パイプを手にしたまま坂本の去った方を見つめている。
男「ついに瞬間移動装置も完成させてしまったのか……」
その声に、岡田が男の正体に気付く。
岡田「……博士?」
その声に男が振り向く。
あい「ああーっ、博士じゃないっ!じゃあ今までの白髪爆発頭はヅラ?」
大袈裟「ごめんごめん、別に隠してたわけじゃないんだ。ただ、科学者が君らと同じ年代  だと説得力ないだろ?だから年寄りに見せてただけ」
森田「じゃあ『隠してた事』を話してくれよ」
三宅「剛……」
森田「なんであんたが『長野』っていう名前を使わないで『大袈裟』っていう偽名を使っていたのか」
井ノ原「そしてあの『坂本』ってヤツとあんたがどんな関係なのか」
2人は大袈裟を睨み付ける。
大袈裟「わかった。研究室に戻ったら全てを話そう」
そう言って大袈裟は踵を返す。その姿を見つめる5人。


地下洞窟内の坂本。何かを手に持っていてそれを見つめている。カメラがそれを映すと、それはシルバーのクロスペンダント。坂本は無言でそれをズボンのポケットに入れる。

ナレーション「大袈裟は坂本とどういう関係を持っていたのか?そしてブロッコ・ロボを失ったVレンジャーはどうするのか?いま、新たなる戦いの幕が切って落とされようとしていた。負けるなVレンジャー!、いけ!サイコーにナイスな戦士たち」

TO BE CONTINUED!


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