剛くんとわし☆  “快子さんの思ひ出の巻”

(by黎さん)

 小洒落たじじぃの朝は、一杯のカフェ・オレから始まる...
「“ふっ、太陽が眩しいぜ” なんつって♪  気分はパリジャンじゃな♪」
「おじぃちゃ〜ん! “辛子明太”は焼きますかぁー? それともそのままご飯に乗っけちゃいますかぁーっ?  ...まぁくーーん! 朝よぉ、起きてきてぇ〜!」
「う゛...快子さん。 人がせっかくクールに決めておるところを..... で、メンタイは焼いちゃイヤ〜〜っっ♪」
「あ゛ぁーーっ じぃちゃん! 俺のマグカップ勝手に使ってるぅー! やだ、やだママン! じぃちゃんに何とか言ってよぉ〜!」
「あ゛ぁもう、朝からうっさいなぁ、どいつもこいつも!」
「マ、ママン?」
「あ、剛くんごめんねぇ、冗談よ、うふふ♪ おじぃちゃんにはママンから言っとくから、ダッドを起こしてきてくれる?」
「はぁ〜い! ダァーッド、ママンが起きなさいってぇ〜!」

 「おじぃちゃん、剛の勝手に使ってやらないで下さいね。 それほら、今剛の一番のお気に入りのヒーローの柄のですから。」
「あ、この “ぐっ!とくるね仮面” がか?」
「そうですよぉ。 だからおじぃちゃんはご自分の“ご存じ! ティガ男くん”のマグを使って下さいね。」
「はぁ〜い。 ...でも、今日はもうメンドイから入れ替えしなぁ〜い。」
「...じじぃ、人の話ちゃんと聞いてんのか? あ゛ぁ!? それは剛のお気に入りだから使ってくれるな!って言ってんだろぉーっ!」
「てへっ、冗談でぇ〜す。 すぐ入れ替えしまぁ〜す!」

 あ〜ぁ、快子さんったら、最近益々強くなってきよったの...博、怯えちゃう...
 初めて家に来た時は、緊張でガチガチになってて、そりゃぁ可愛らしかったのに...
 はぁ、懐かしいのぉ〜。 快子さんはほんに、愛くるしいお目々の初々しいお嬢さんじゃったなぁ〜。



「まぁまぁ、快子さん。 そんな堅くならないで。 私もお父さんも、“取って食お
う!”なんて思っちゃいないから、ね?」
「えぇっ? 快子さんは“食用”なのぉ?」
「何言ってんだ? 親父!」
「やだなぁ、昌行。 ムキになりおって...冗談に決まっておるだろ、そんなの。」
「当たり前だ!」
「ところで、快子さんの“よ”って、“溶岩”の“よ”? それとも“よもぎ餅って美味しいよね♪”の“よ”? はたまた...」
「おい、健子。 “美味しいよね♪”じゃなくて、“イケてるよね♪”だろ?」
「うっそぉ〜っ! “美味しいよね♪”よ!」
「何言ってんだ、お前。 “イケてるよね♪”だって!」
「違いますぅ! “美味しい”ですぅ!」
「強情だな、お前... ま、そういうとこに惚れちゃったんだけど☆」
「(ぽっ。)やだ、ひぃくんったら♪ 健子照れちゃう... あ゛ぁーーーーー」
 “キーーーン”
『う゛ぉあ゛〜!! み、耳がぁ〜!!』
「お袋っっ! テンション上がる度に超音波の雄叫び上げるのは止めてくれっ!って言ってるだろっ!」
「まったくじゃ、健子。 それだけはわしも未だに馴れんぞ。」
「あ、またやっちゃったぁ? あはっ、ごめんなさぁ〜い☆」
「うほっ♪ 健ちゅん、かわゆ〜いっっ! 博、参っちゃう☆」
「いやん、ひぃくぅ〜ん!(はぁと)」
「...ったく、付き合ってらんねぇよ。 ごめんな、よっちゃん。 俺んとこの両親、キョーレツだろ?」
「お・ほ・し・さ・まぁ〜... ☆#○▲◇$◎☆」
「うぁ? 快子ぉっ?  ゲッ、気絶してる...」

「お、意識が戻ったようじゃ!」
「快子! 大丈夫かっ!?  昌行だぞ、分かるかっ?」
「あ、まぁくん... あれ? 私、一体...」
「快子さん...声、太ぉい...」
 “べし〜んっ!”
「い、痛い... 昌行、そんな思い切り頭ハタかんでも。」
「親父、ちょっと黙ってろ!」
「ごめんなさいね。 私がちょっと茶目っ気出しちゃったもんだから。」
「お袋。 茶目っ気とかいう可愛いもんじゃないだろ...」
「えへっ、ごめんなさぁ〜い☆」
「健ちゅん、かっわゆ〜...」
「親父! お袋!  殴るぞ、マジで!!」
「ボソッ...もうわしの頭、ハタいたくせに...」
「あ゛? 何か言ったか?」
「何でもないでぇ〜す!」

「あ、で、さっきの続きね。 快子さんの“よ”は“溶岩”の“よ”? “よもぎ餅って美味しいよね♪”の“よ”? それとも、“四番バッターの平尾くん”の“よ”?」
「え...平、尾くん、ですか...?」
「そぉ。 一体どぉれ?」
「お袋! “どぉれ?”もクソもないだろが、そんなん! よっちゃん、相手にしなくていいぞ。」
「あ、あのぉ...多分...四番バッターの...」
「こ、答えてるーーっっ!」
「まぁ! 平尾くんなのねっ!?」
「えぇ、だったと思います。」
「あなたぁっっ♪」
「うむ、それなら問題あるまい... 快子さん、昌行をよろしく頼みますよ。」
「あ、は、はい! 私の方こそ、よろしくお願いします!」
「...快子さん。 声、太ぉい...」
 “べし〜んっ!”
「もぉ、昌行ぃ〜。 冗談だ、って! 痛いなぁ、もぉ〜。」

「知るかっ! ...で、親父。 四番バッターの平尾くんって何だよ? それで俺達の結婚許す、ってどういう意味があるんだよ?」
「え? 昌行。 平尾くん知んないのぉ〜?」
「知るわけねーだろ! だから何なんだ、って聞いてるんだよ。」
「知らん奴に言っても意味ないもんねぇ〜っだ!」
「なっ!? だから教えてくれ!って言ってんだろっっ!」
「嫌でぇ〜す!」
「こんの、クソじじぃーー!」
「クソじじぃで結構ぅ〜! でろでろでぇ〜っだっ!」
「うふふ。 もぉ、お父さんも昌行も“ノリ・ノリの助”なんだからぁ〜♪」
「健子、それを言うなら、“ノリ・ノリ太郎”じゃろ?」
「あ、そうだったぁ〜☆」
「もう、健子のおちゃめさん♪」
 あははははははははぁ〜〜♪



「.....ぃちゃん! おじぃちゃんっ! ...じじぃ!つってんだろ!?」
「うぁ? あ、快子さん、何?」
「もぉ、“何?”じゃないですよ。 早く朝ご飯食べちゃって下さいよぉ〜」
「あぁ、すまん、すまん。 てへっ♪」

 まぁ、快子さんもすっかり我が家の一員になった、ってことかの。
 クスッ... 相変わらず声は太いけどな。 ま、それも良かろう♪ っということじゃ。
 てな訳で、大袈裟家は今日もノリノリなのじゃった☆

(1999.6.23up)