まえがき
私の想像としては映画のつもりです。
夏が舞台なので、そろそろ公開が始まる頃のような。
だから書いてる最中は映画を見てるような感覚。すっごく楽しんでます。
剛くん&健くんの掛け合いが命(笑)。
私、剛健コンビ大好きなんです。
呆れずに読んでやって下さい。(^^;)

(by あやっぺさん)


『ミーン・・ミンミン・ミーン・・・』
せみの声。
暑い日差しの中、深い緑色をした木々の葉がそよ風になびく。
一本道を小さなバスが走っている。
バスが止まると、中から重そうなボストンバックを持った男子生徒たちが次々に降りてきた。

「うわぁ〜!あっちぃー!!」

みんなそう言って顔をしかめる。
生徒が降りると、バスは一本道を数人の客を乗せて進んでいく。

「・・・早く行こうぜ。すぐそこだし」

生徒たちは歩きだす。目指すのは部活の合宿所。
暑さから早く逃れたいのに、その暑さで足取りが重い。
中の一人が何かに気づいて立ち止まる。じっと“何か”を見つめている。
その隣を歩いていたもう一人の部員も立ち止まり、尋ねる。

「どしたの?」

「・・・・・」何も言わず、ただ笑っている。

「???・・・」目線を追ってみる。そこには・・・

「すっげー!きれいな海!!」

「だろ?」

暑さに疲れ、知らず知らずのうちに下を向いて歩いていたためか、だれも気づいていなかったのだ。
二人以外の全員は、やはり気づいていない。
二人が大きな声を出してもせみの声と暑さで声が耳に届かず、みんな歩いていってしまった。

「行ってみねぇ?」

「えっ!でも・・・」他の部員の様子を見る。

「おい!翔、南!行くぞ!!」遅れている二人に気づいた部員が声をかける。

間に挟まれ、オロオロする南。翔はというと・・・

「行こ!!」答えを待たずに海を目指して走り出した。

「・・・ちょっ・・!待ってよー!!」もう一度部員を確認し、慌てて後を追う。

一本道を走る二人。無邪気に笑い、コワレていく。
夏を迎えた嬉しさと 夏に挑む冒険心を胸に―――――



ちいさい夏の島 〜1部〜
          

岡田 准一 (マコト)
 
森田 剛 (北宮 翔)

三宅 健 (結城 南)



『ザッザッザッザッ・・・』二人の足音。

「ふぇ〜っ、やっと着いたよ。海、もっと近そうに見えたのに」

海を目の前にして疲れきっている二人。
でも、この奥底まで透き通った海を見て、はしゃがないでいる方がおかしい。
バックを放り投げ、服を着たまま海へ飛び込む。

『バシャバシャッ!!』

「ひゃははっっ!!」

メチャクチャに遊び倒す二人だったが、ふと海の向こうを見ると・・・

「なぁ」

「?・なに?・・・翔?」

「あっち。なんか見えねぇ?」海の向こうを指差す。

「えっ、・・・う〜ん」ぼんやりと何かが見えてきた。

「島・・・だよな・・?」

「そうみたいだね」

「・・・・・」

また口を開かなくなった翔。
これが何を意味するかなんて、さっき海を見つけたときの翔を見ていればわかることだ。

「今度は?どこに行きたいの?」知っててわざと問い掛けてみる。

「・・・・・」

「まさかぁ、あの・・・」

「島!あの島行ってみてぇ!!」南が言いかけたところで翔が叫ぶ。

「あのねぇ・・・。あんな遠い島までどうやって行くの?」予想どおりの答えに呆れて肩を落とす。

「えっ!?えーっとぉ、・・・う〜ん・・・」

「どーすんのぉ?」

「・・・よし!・・・飛んでこ!海の上!!」答えが見つからず、ボケをかます始末。

「はいぃ〜っ!?」


−合宿所

「ジャージのまんま海って・・・。おまえら小学生?」

びしょぬれのジャージで遅れてきた二人を見て、部員が口々に言いたいこと言ってる。

「・・るっせーなっっ!」

海と合宿所は思ったより近く、風邪をひくまでには至らなかった。
合宿所から海が近いとわかっていれば、あんなに走らなくてもよかったのに。
自分達がバカらしく思えてしかたがない。


翔に続いてシャワーブースに入っていた南が出てきた。
翔がいないのに気づき、ベランダからさっきの海岸を見てみる。
案の定、一人たたずみ“あの島”を見つめている翔。南はそこへ向かった。

『ザザーン・・ザザーン・・』波の音。

南の前には、ただ島を見つめている翔の後ろ姿がある。

「そんなに行きたいの?あの島」

「うん」

だんだん近づいてくる足音は南だと予想がついていたのか、南が突然切り出しても顔をこちらへ向けないまま翔は答える。

「どして?」

「・・・おまえわかってんだろ、俺がどーゆー奴か」

「一回言い出したらきかないワガママな奴」笑って翔の隣に腰を下ろす。

「わかってんなら聞くな」

「でも、マジで行く方法ないよ」

「・・・だぁ〜っもうっっ!!行きてぇもんは行きてーの!」大声で叫びだす。

「駄々こねんなよ!」

変なところで盛り上がっている二人。
そこへ・・・

「行かんほうがええよ、あの島」


背後の声に振り返ると、一人の男の子が島を見つめて立っていた。



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(1999.7.17up)


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