(byあやっぺさん)
風のない街で、一人空を見上げてみる。
雲は誰にも急かされることなく、ゆっくりと果てしない空を泳いでいく。
(「“自由”俺にも少しわけてくれませんか?」)
なんとなく過ぎていく時間<とき>を、いつでも最高の時間だったと言えるように。
俺が何を思おうと、何をしようと、俺の願いが受け入れられることはなかった。
こんな街なんか飛び出して、自由で楽しいことをすればいい。
一人なら気楽でいいじゃないか。
俺がいなくなったところで、この街がどう変わるわけでもないのだから。
・・・いつも逃げようとしてる。
本当は、君がその街で幸せに暮らしているように、俺もこの街で十分幸せなんだ。
認めたくないだけ。
この街で、もっといろんなことが出来るような気がするから。
もっと楽しい時間を過ごせるような気がするから。 (剛)
優しい日差しの街で、子供たちの笑い声に包まれている。
公園はいつも暖かく、ベンチに腰掛けているだけで不思議と楽しくなってしまう。
(「“笑う”って難しくないの?」)
心の中で子供たちに問い掛ける。
彼らと同じく僕が子供のころは、自然な笑みを浮かべることができていたのだろうか。
不安になる。いつも自分は愛想笑いしてるだけなのではないかと。
そうだとしたら、なんてつまらない人間なのだろう。
どんなに偉くなっても、どんなに賢くなっても、笑えないんじゃ意味がない。
つまらない毎日なわけじゃないけど・・・。
みんなに追いつくことに夢中だった。置いていかれたくなかった。
でも、今は置いていかれるのもいいと思う。それが自分のペースなら。
君はもう知ってるよね、僕の本当の笑顔。
大丈夫。絶対、嘘はつかない。 (健)
雨上がりの街で、足元の水溜りを覗く。
少し濁った水溜りに自分の顔が映し出されている。
(「いつもご苦労さん」)
“オレ”を支えてくれてありがとう。
[甘えてばかりはいられない。一人でもやっていける]
無理して自分に言い聞かせたこともあった。自分に負けるのは嫌だった。
でも結局、自分は一人じゃ何もできないのか。
諦めない。・・・絶対。
君を正面から見つめることができるまでは。
良い結果を出すことができたか自信がなくても、それはそれでかまわない。
自分のしたことに自信を持っていられればいい。
それが今のすべてだから。
たとえゆっくりでも、自分は必ず大きくなれると信じて。 (准一)
〜END〜
(1999.6.28up)
![]() (「STORIES」に戻る) |
![]() (メインのページへ) |