A JACK IN THE BOX

(by あやっぺさん 99.11.16up)

<puzzle> 〜GO〜

雨が降ってきた。
俺はどうして走っているのだろう。
それすら忘れてしまった。

何も考えたくない。
こうしている間にも、何かが近づいてくる気がして。
逃げたかった。消えてしまいたかった。

アイツの声が聞こえる。
どうせ錯覚だろう。そんなことはわかってる。
呼び止めてほしかっただけなんだ。

あの細い肩にずっと顔を埋めていたい。
理性とか感情だとか、そんなのどうでもいいから。

居場所なんかなくて、“未来”をこの手で握り潰した俺を、
アイツは優しく包んでくれた。
そしてあの夜、俺は静かに目を閉じた。

俺なんてまだガキで、明日にしか目を向けることはできない。
でも“アイツと過ごした日々”これだけは確かな現実だった。
決して泡となって消えることのない、小さな光。

光をどこかに置き忘れ、道しるべもない今、
俺はどこを目指して走り続ければよいのだろう――――――


<JUST.FOR.YOU> 〜KEN〜

君のために、俺は何ができるだろう。

何も知らない君を俺は平気で怒鳴り、傷つけた。
一人になって寂しいのは自分なのに。
長い夜に怯えている。
星は手を差し伸べてはくれない。

あの星をまっすぐ見つめるように、
俺が君をまっすぐに愛したら、君は微笑んでくれるだろうか。

一緒に歩んでいくと決めた。
まだ俺の決心でしかないけれど、きっと君に伝える。
夢を信じることができるのも、君が隣にいてくれるから。

俺を信じてほしい。
傷つけてしまうこともあるかもしれないけど、必ず強くなるよ。

焦らずに、ゆっくり歩いていこう。
すべてを捨てることになっても、手を握っていられればいい。
恐くない。
たとえ、どんな逆境にあおうとも。

朝になったら会いに行くよ。
きっと待っていてくれる。
それまでは、もう少し一人で―――――


<素直になってゆく> 〜JUN〜

俺達が出会えたのは偶然の出来事だった。
そのとき太陽がすごく眩しく感じて、それが嬉しかった。
君がいなければ、俺はまだ迷い続けていたかもしれない。

君は俺を助けてくれると同時に、俺に助けを求めてきた。
弱りきった自分を晒して。
何もかもうまくいかない、そう嘆いた。
俺は弱い自分を捨てた。
俺まで弱いんじゃ、君はもっと辛くなってしまうだろうから。

君と二人で寄り添っていられれば、それだけでいいんだ。
君の弱さも優しさも全部受け止める。
隠すことなんてないから。

お互いの心が擦れ違っても、またここに戻ってくる。
だから夢は捨てない。
君と俺の考えはすべてが同じわけじゃないけど、
わかり合おうとする気持ちがあれば大丈夫だよ。

すぐに答えは出ない。
気持ちをぶつけ合って、少しずつ探していこう。

毎日を繰り返し、行き着く先に夢だったことが現実となって存在する。
諦めずに前へ進もう。
素直な気持ちは、きっと“明日”を呼ぶよ―――――



〜END〜





(「STORIES」に戻る)

(メインのページへ)