剛くんとわし☆

(by黎さん)

 わしの名は、大袈裟博。 ちょっぴりシャイで色白な、ナイスガイじじぃじゃ♪
 じじぃ、といってもあなどるでないぞ。 毎日50回の反復横跳びとヒンズースクワットはかかさずやっておるからの。 ふふふふふ...体は鍛えておるぞ。
 ご近所のご婦人方の間では、“白髪の貴公子”と呼ばれ、わしはちょっとしたアイドル的存在じゃ。 ふぉふぉふぉ、どうじゃ、わしに逢いたかろう?
 おっと、つい自慢話ぎみになってしまったな。 博、反省...(五秒間静止)。 
 はい、反省終わり〜! ほっほほ〜い♪(くるくるターン中)
「おじぃちゃん! なに縁側でターンしてるんですかっ! 准くんがビビってるでしょう!?」
「おぁぁ? あ、すまん、すまん。 てへっ、准くん...ビビりまくり?」
「.....(ぼぉー)」
「...准くんは相変わらずぼうっとしておるの。 まだ、おねむか?」
「.....(ぼぉー)」
「う...まぁ、いいだろう。 ...そだ! カルピス飲も〜うっと♪ 快子さ〜ん、カルピスちょおだ〜い!」

「ゴクゴク...縁側でカルピスを飲むクールなじじぃ...うむ、画になるな♪」
「ぐ〜すか、す〜ぴ〜。」
「...にしても准くんは、寝てるか食べてるかのどっちかだな。 ...子供の寝顔はかわいいのぉ〜。 ...軽くデコをペシッ、なんつって♪」
「う、うわーんっっ!」
「えぇー? 准くん何で泣くっ?」
「おじぃちゃん! 准に何したんですかっ? うわぁっ、デコ真っ赤になってる! ...じじぃ、ざけんな!」
「いや、わしはつい准くんのデコがかわいくって、軽く、こう軽〜くペシッ、としただけだぜ〜。 快子さん、ほんとじゃよ!」
「軽〜くで、こんなに赤くなるはずないでしょぉ? もう、おじぃちゃん大人しくしてて下さいよぉ〜。」
「は〜ぃ.....(しゅん)」

 ひ、暇だ... 今日は何にもすることがない。 ばぁさんは町内の婦人会の温泉旅行だし。 ...はぁ、退屈だ。 こんな日には美しさに磨きを掛けにエステにでも行きたい気分だが、そんなことを言おうもんなら“じぃさん、ふざけんなっ!”っと、昌行と快子さんが火を噴くに決まっておる。っていうか実際に火を噴かれた、からもう言わない。 だって、怖いんだもん、あの二人。 博、イジケちゃう...

 お、そうそう、わしの家族のことに触れておらんかったの。
 我が家は6人家族。 わしとわしの妻・健子ばぁ、わしらの最愛?の一人息子・昌行と昌行の嫁の快子さん、そして孫の剛と准一、じゃ。
 もぉ、剛くんはわしの初孫じゃからの♪ 目の中に入れても痛くないことはなかろう!
 っというくらいにかわいがっておる。 いやいやだからといって、准くんのことをかわいがっておらんわけではないぞ。 昼中はいつも准くんと二人こうやって縁側で、ぽけら〜っと過ごすのがじじぃの楽しみとなっておるくらいだからな。
 准くんも剛くんが帰ってくると、動きが活発になるんじゃがなぁ〜。
 はぁ...剛よ。 早くガッコから帰ってこぉ〜い!

「ただいまぁ〜!」
 お! あの声は正しく剛くんだっっ♪
「准くん、剛くんが帰ってきたぞっ!」
「ぐ〜すかぴ〜。」
「准.....寝過ぎじゃないか...?」
「じぃちゃ〜ん、ただいまぁーーっっ」
“バシーーンッッ”
「うほっ!? いったぁ〜、剛くん帰るなりじじぃに“ケツ蹴り”喰らわしよったの。」「だって、じぃちゃんのケツ、プニプニしててムカつくんだもん。」
「お、言いよったな。 じじぃのケツは歳を感じさせない張りのあるケツだと評判なんだぞぉ〜!」
「...どこらへんで評判になってんの?」
「え?...ストックホルム辺りで.....え〜い! 剛くん、いいか目をつぶれよぉ〜。はい!“目潰しぃ〜”」
“ぶすぅ〜っ!”
「うっ、じぃちゃん...マジ痛い.....」
「当たり前だ。 我が孫と言えど手加減はせん! 断じてなっ!」
「...じぃちゃん。 かっけぇ〜!」
「だろっ? .....でも剛くん、ちょっと感覚がイタイな。」
「え? じぃちゃん何か言った?」
「いや、別に何も言っとらんぞ。」
「うっそだぁ〜。 今ボソっと何か言ったよぉ。 じぃちゃん何言ったんだよぉ〜。」
「言ってないって!」
「嘘! 絶対言った。 あ! 俺の悪口言ったんだぁっ!」
「悪口? 言うわけなかろうが。 もぉ、しょうがないなぁ... さっきじじぃはな、“ごぉくんかわいい、食べちゃいたぁ〜い♪”っと言っただけじゃ。」
「ほんとぉ?」
「あぁ、ほんとじゃ。 自分の孫がかわいくて、食べちゃいたい♪ っと思わん、じぃ&ばぁなどこの世にはおらんぞ!」
「じぃちゃん、俺ってそんなにかわいいのか?」
「あぁ、かわいいとも! さぁ、剛! じじぃの胸に飛び込んでおいでぇーーっっ!」
「じぃちゃーんっっ!」
“がしぃ〜っ!” あぁ、愛しい孫との抱擁..... 博、幸せ♪

「...腹、減った...」
「腹? おぉ!准くん、いつの間に起きたんだ?」
「あ、准いたの?」
「...いた...」
「あぁ...そう... あれ? ママンは?」
「あ、近所の奥さん方とボーリングに行っておる。“2時から5時まで放りっぱなし♪”とかいうデータイムサービスがあるとかなんとかで。」
「へぇ、そう。 じぃちゃん、腹減ったよぉ。」
「そうじゃな。 なんぞおやつでも買いに行くか?」
「ほんと?じぃちゃん。 やったぁ〜! 准、何買ってもらおうか?」
「...イカ焼き。」
「イカ、焼き?...あ、あるといいね。」
「さぁ、剛くん、准くん行くぞよ。」
「はぁ〜い♪」

 うふふふふ、今日もかわいい孫に慕われて博じじぃは幸せなのじゃった♪
 ところで...健子ばぁのへそくりはどこじゃったかな...?
 ...てへっ、博おちゃめさんっ♪

(1999.6.13up)


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