投稿時間:01/05/24(Thu) 07:39 投稿者名:きらきらぽー
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タイトル:Euphoria その3・浪人「生」(准&快編)
渋谷の騒がしいセンター街を抜けハンズの少し裏道をとおると、たくさんのレア盤をおくCDショップがある。俺はここを歩くのが好きや。たまに、お目当ての品があると、 「おお、俺をこのジャケットが待っていてくれたんやなあ。やったでー!」 と嬉しくなる。けども、そんな音楽生活もそれほど熱心にし続けるわけにはいかへんのや。だって、俺、浪人生なんやから。
俺が受験に失敗したことに、周りの連中はほんまにおどろいとった。俺も、皆が「准一はk大行くのが当たり前や」 と言っとったの、よう知ってん。なんか、恥ずかしかったー。きっと大阪おったら、勉強できんかったやろ。だって、俺、他の奴みんな大学いっとって、自分だけ行けへんのが、悔しくて辛くて。投げ出しとったやろ。そういう俺の気持ちわかっていたのか、おかんが 「もう、大阪におるんやったらやる気がでえへんやろ?准一!あんたは東京に一人で出て予備校に通ってきちんと勉強せにゃいかんよ!」 と俺を東京に出しよった。実は東京っ俺が小学生の頃まで住んでた所だから、そんなに違和感はあらへんかったし。もちろん、俺は今は立派な大阪人やから東京行って巨人ファンの中で野球見るのは辛いやろうけど。おっと、話が横道にそれた・・、ま、通うことになった予備校の費用もなんとか模試の成績で優待生扱いで安くはなったんやけど、おかんに迷惑かけとるのは変わりない。なんとか今年で合格せにゃあかん。俺はいつも心に誓うのだが、どうも5月病とでもゆーんかいな、身が入らへん。あ、浪人じゃあ5月病とはいわへんのか。
俺が大阪に子供の頃来る前、つまり関東に居た頃の幼馴染の健と剛も志望校、合格したそうや。うらやましいなあ。なんで俺だけ落ちよったんやろ・・・。神様ほんま、冷たいわ。・・・・そんな事思いながら、また俺はレア盤探しにショップに来とった。 そしてみつけた。 「あ、あれは!俺がさがしとった、あのバンドの自主制作盤や!!」 心の中で俺は歓喜の声をあげとった! ドン! いきなり後ろから小走りしてきた男にぶつかった。その男は細い目をさらに「線」みたいに細くして、にたーっと笑って、俺の求める品を手にとった。ジャケットを見つめにやにやしとる。きもわるー。え!?てことは、この細目のにーちゃんも俺の欲しいこの自主制作盤を買おうとしとるんか?それはあかん、あかんでえー!!
俺の、鬼気迫る視線に気づいたのか、細い目のにーちゃんは、こっちを見とる。俺はゴクリと唾を飲み込む。買うな、買わんといてー!!心で叫ぶ。すると細い目にーちゃん 「あのー、君、これ買おうと思っていた?」 と聞いてきた。 「へ?あ、あー、そうですけどー・」 なあ、にいちゃん堪忍や。その自主制作盤はこの世の中に1000枚しかないんやで、ファンならどうしてもそいつが欲しいんや、お願いだから買わんといてくれや!俺はまた心の中で叫ぶ。きっとそんなんが顔に出ていたんかもしれん。 「そっか、そっかー。どうしよう、んーーー、ま、いいや、これ君に譲るよ。多分、これ、友達で持っているのがいそうだから、聴かせてもらえればそれでいいし。」 「ほ、ほんまに?」おー、ごっつラッキーやんかあ。細い目のにーちゃんはそれを快く譲ってくれた。感涙・・・。 「ほんまに、おおきに!」 俺は嬉しくて礼を言って帰り、その日はやっと買えたその自主制作盤を大事にMDに落としゆっくりとその音楽を聴きながら幸せな一晩を過ごせた。こいつが手に入るなんて、ほんまついてるわあ。ほおずりほおずり・・・。
それから数日後の予備校の帰り、今度は西新宿のレアCDショップ街を歩いていた。やっぱ、関東に来て一番良かったんはこの掘り出し物いっぱいの街でレア盤探せる事かもしれんなー。
けど、心のどこかでもう一人の俺がゆうとる 「これでええんか?准一。」 俺はその声をかき消すようにMDウオークマンの音量を大きくした。
何店舗かまわったが、今日は収穫なしのようやった。1時間近く歩き回って、俺も少々疲れたわ。腹も減ったし。すぐ近くに見えたラーメン屋にとにかく入ってとんこつラーメンを頼んでみた。3時半という中途半端な時間にも関わらず割と人が入っている店やった。ひょっとして美味い店、穴場の店かもしれんと思い、目の前にやってくるであろうラーメンにおのずと期待が高まる。年の近そうな色白で明るめの軟らかそうな髪のにーちゃんがハスキーボイスで店主にこう言うのが聞こえた。 「いやー、東京ではここのラーメンは3本指に入ると思いますよ。帰省の度にこの店に僕は来るんですよ。まあ、最近は横浜の家系ラーメン制覇を目論んだりもしているんですけどね。いずれにせよ、店長の作るラーメンは絶品です!ほんと、ご馳走様でした。」 にこにこ顔のその綺麗なにーちゃんは満足そうにお腹をなでながら店を出て行った。そうか、そんなに美味いのか!彼と入れ替わりにまた人がやってきた。ごっつ繁盛してる店やなあと思いつつ、その人の顔を見て驚いた! 「あ、あの細い目のにーちゃん!」 俺は心の中で叫んだ。恩人やー。あのレアな品を譲ってくださった神様のような人やでー。 「あれ?君は??この前の!」 その細い目のにーちゃんも気がついたようだった。にーちゃんは今日もたくさんCDショップの袋を片手に下げていた。
「先日は本当にありがとうございました!」俺は立ち上がって挨拶をした。 「いやいや、いーってことよ、俺はいろいろ聴くのが好きなんだから、どうしてもあれが欲しかったって言うんでもないし・・・。あ、ほら、ラーメン来たよ。ここのは美味しいんだから、伸びる前に食べた方がいいよー。」そのにーちゃんは親切に言ってくれた。俺はお待ちかねのラーメンが来たのにも気づかんほど、妙に興奮していた。こんな偶然ってあるんかあ?俺たちはラーメンを食べながら自己紹介をした。彼の名前は井ノ原快彦というそうや。これが俺たちの出会いやった。実際、ほんの時折下宿の大家さん一家くらいしか、ほとんど人と喋る事のなかった俺にとって、よく喋る井ノ原さんの存在は貴重やった。
「へえー、岡田は浪人生だったのか。」 まだ会ってちょっとしか経たへんのに、井ノ原さんはもう俺を呼び捨てにしている。でもなんだかそれが妙に親しげでちょっと嬉しくもあったんや。ただ、浪人生でこんなにふらふらしている俺。井ノ原さん、なんか言ってきそうやなあ。ちょっと、俺、不安に思う。 「俺は今w大の2年。よろしくなー。」 井ノ原さん、全然浪人生って事に触れへんかった。あれ?っとちょっと俺拍子抜けしたで。その日、いきなり井ノ原さんの家に俺はあがりこんだ。ギターやらCDやら散乱した部屋は、いかにも楽しんでる大学生っぽかった。ええなあ、大学生って。俺は凄く憧れを感じた。 「このCDいいんだよー。岡田も聴いてみろよ、あ、こっちのアルバムもいいしな。」 と井ノ原さんは何枚も俺に渡してよこした。あまり興味がないのもあったけど、その楽しげな笑顔と熱い語りに負けて、つい俺は借りてしまった。このうち数枚は聴くことなくホコリをかぶる運命にあったわけなんやけど・・・。 「なあ、快彦っ!お前が言ってたコンビニのイタリアン棒餃子なかったぜ!ったくほんとにそんなモン存在したのかよ!」 急に玄関が大声と共に開けられる。そこには爆発したような謎なパーマのかけ方をした背の小柄な青年が立っていた。 「うわっ、くっせーな、この部屋。あいかわらず!ちょっとは掃除しろよ!」小柄な青年が顔をしかめる。 「わりいわりい、剛、イタリアン棒餃子あれ、コンビニのじゃないや、なんとかっつーファミレスのだ。もしかして、探しちゃった?」井ノ原さんが言うと、どうも憎めない。 「ったくよー、坂本君まで一緒に探してたんだからなあ。あー、時間無駄にした!俺、春の学祭の準備で忙しいだよ、といってもサークルの先輩の手伝いだけだけどさあ。とにかく、快彦世話やかせんなよなあ。」ぶつぶつ言っている青年の勝気な態度、そして目つきの鋭く、神経質そうな細い眉、見覚えのあるその顔・・・。 「剛君!森田剛君やないか!」俺は思わず叫んだ。 「え、あれ?岡田、俺の従兄弟と知り合いだったの?」 井ノ原さんがの細い目が気持ちだけちょっと大きくなる。 「あ?お前、岡・・・田?あのトローい坊主の岡田准一かあ?なんでお前が快彦の貧乏部屋にいるんだよ?」 剛がドカドカと部屋の中心までやってきた。 「おいおい、貧乏部屋はないだろー。」 ちょっとショックを受けとるようや、井ノ原さん。相変わらず、剛君、言いたい事をぽんぽんゆうとるわ。 しっかし、世の中わからんもんや。ほんま、狭いと思ったわ。俺と剛君、健君のおかん同士がずっと仲良くしてて、時折おかん達3人で集まったりしとったから、なんとなく剛君も健君もどうしているのか、おかんからはぎょうさん聞いていたで。そやけど、本人に会うのはもう、何年ぶりやろか・・・。この日はお互いの近況を話して盛り上がった。
「坂本荘」これが俺の下宿だ、6畳一間の部屋は井ノ原さんの所と同じ位の狭さやけど、あそこまで汚くしてるつもりはない。この日、夜遅くに自分の部屋へ戻ると、急に静かな誰も居ない空間に、妙な違和感を覚えた。ちょっとだけ寂しいような。いつもなら、どうってことないんだけどなあ。大阪の俺を知ってる人には絶対会いとうないし、こういう一人暮らしを楽しんでいたんやし。きっと井ノ原さんがうるさすぎたから、ギャップが激しくてこんな風に感じとるんやろ、俺。この晩は、井ノ原さんがムリヤリ貸してくれたCDを2枚位聴きながら眠った。昼間の楽しさが曲と共に蘇って、夢見も良かった。
翌朝、予備校へ出かける時に、大家さんの所の息子の昌行さんに出会った。彼はアメリカの大学に行くため、8月くらいまでは日本でのんびりした生活をしとるんや。うらやましいなあ、ほんまに。いつもなら軽く挨拶する程度なのに、今日にかぎって昌行さんは俺を呼び止めた。 「岡田君さ、いっつも音楽聴いてない?」 なんだかいつにも増して不機嫌そうや。俺、実は昌行さん苦手なんや、だっていつも怖そうな顔しとるし、下手な事言ったらどつかれそうな感じやし。・・・音楽、あ、もしかしてうるさくしてしもうたかいな?そんで昌行さん、めっちゃ不機嫌になってしまったんやないか?俺はちょっとドキドキした。 「ええ、聴いてますけど・・もしかしてうるさかったんやないですか?もし、そうやったら、ほんま済みません!」俺は丁寧に謝った。 「ああ、ちょっとうるさいぞ。」あー、やっぱりおこっとるわ、昌行さん。 「勉強大丈夫?ナガラ勉強派?」 こんなことを尋ねられるとは・・・。けど、俺、実はナガラでもなく、つまり家ではなんにも勉強してへんかった。なんでやろ。 その後、昌行さんはヴォリュームを下げろ、とムスッとして俺に文句を言ってからプラモデルの新作を買いにモールへ行ってしまった。俺はなんだかきちんと昌行さんの目を見て話せず・・・何をどう答えたかちゃんとは覚えてへん。
「本当にこのままで、ええんか?」 また心の中でもう一人の俺がささやいた。
浪人生活というのはなんだか自分だけ時間がとまったようや。多くの同級生達は大学行くなり、専門学校行くなり、就職するなり、新しい時を生きている。俺はここに留まってるだけなんやろうか・・・。俺はそんな自分の不安から背を向けるようにCDを買いに街をふらついた。そのうち予備校に行くのもおっくうになった。知り合いが居ないところだからこそ、浪人生活、しっかりと勉強できるなんて思っとったのに、なんでやろ?これはもう5月病やない。 俺の時間が止ったまま勝手に夏がやってくる。
8月に入り井ノ原さんから電話が来た。それまでも何度か会う事もあったし、剛くんの大学祭にも一緒に行ったりしたんやけど、7月は井ノ原さんが大学の試験があるらしく会っておらんかった。電話の内容はどうやら井ノ原さん所属のバンドサークルが吉祥寺で小さなライブをやるから来いとのこと。何組か面白いバンドが出るらしい。剛君も来るという。俺は久しぶりのイベントを楽しみにしておった。
その井ノ原さんのライブの当日は剛君と健君に会った。初めての吉祥寺駅で地図を見ながら困っているところに、二人が通りかかったんや。俺、方向音痴やねんな、地元の人がいて助かったわ。そうそう、健君はほんま、何年ぶりやろ。殆ど声が変わっていないのには驚いたで。関西の大学に行っているので、夏休みの帰省らしい。 「そっかー、岡田こっちで勉強してるんだね。でも、確か8月って模擬試験がたくさんあるんじゃない?大丈夫?」 健君は昔どおり真面目やった。模試、それは余り考えたくない事やったから、俺はお茶を濁した。当の井ノ原さんのライブはちょっとナツカシ気味になるフォークソング系やった。気持ちがほぐれる、癒される音楽や。井ノ原さんのオリジナルやった。凄いなあ、才能あるんやな、井ノ原さん、と感心した。
ライブの出番が終わると、井ノ原さんは俺を見つけて楽屋に呼んでくれた。ごちゃごちゃと機材が置かれる楽屋はほこりっぽく、独特の匂いがした。最初はライブの感想を話したり、他愛のない話やったけど、久しぶりに会ったせいか、ちょっと井ノ原さんの感じが違っとるように思える。そんなふうに感じている矢先に井ノ原さんがこう切り出した。 「あのさ、前から1つだけ気になってた事があるんだけどさ、」 俺はどきっとした。なんやろ、いきなり。真顔やで。殆ど初めてみる井ノ原さんのマジな顔。ひょっとして、浪人なのに勉強してないとか、そういうことやろか、今まで話題にも全く出えへんかったし。 「なんで東京に来て浪人してるん?確か志望校はk大だったよねえ。そしたら大阪にいた方が近いし、時々キャンパスにも遊びに行けるし、あっちにも確かいい塾あったよねえ。k大行くならその塾の方がいいって、聞いたことあるけど?」 井ノ原さんはいつもよりずっと真面目な表情で言った。 「・・・なんか嫌なんです。皆大学行ってるし、浪人してる自分を見られたくないっていうか。」 俺はちょっと言いにくかったんやけど、ぼそっと言葉が口をついて出てしまった。 こんなこと、人に打ち明けるの初めてやし、ほんま言いにくかったはずなんや。けどなんでやろな、井ノ原さんにはつい本音を出してしまった。 「まあ、こっちにいると自由だよね。誰も知らないし、束縛もないしね。好きなように音楽三昧も出来るしね。」 井ノ原さんは俺に同意するようにちょっと笑って言ったかと思うと、こう続けた。 「でもさ、それって逃げてない?」 痛いところやった。何も言い返せへん。 「お前、ちゃんと今、現在、自分の人生いきてるのか?友達が見てたっていいじゃないか、それがお前の人生にどこまで関わってくるんだ?変なプライド捨てた方が幸せだよ。」 そうかもしれん。どうしても俺は変に周りを気にしてしまうんや。こういう自分も情けなくて動けなかった。けど、まてよ、自分の人生?時間を止まってると思っとったけど、それってなんや、違うってことやろか?
「なんてな、俺に会ってから更にCD聴く時間ばっかり増えられても嫌だからさ。CD聴く時間の倍は気持ちだけでも受験に向けてくれよ。だから、1枚の70分のCD聴いたら、その日は少なくともその倍の140分は机に向かって欲しいなー。」 井ノ原さんは俺の肩をぽんと叩きながら笑った。 時間、時間、俺の時間はちゃんとあったんやな、俺がCDを聴いている時間、街を歩いてる時間。それを俺は止まってるなんて思っとったけど、それは違ったんや、俺が無駄にしていただけや。止まっとったのは自分や。自分が自分の人生をとめておったのや。こんなことに何で気が付かんかったのやろ。
「あ、あと、岡田の行ってる予備校だけど、あそこは模試の結果やら成績やらを学期ごとに親に送ってるって知ってた?」 「え?そうなんすか?」 ほんまに初耳やった。おかんはもう俺のこっちでのダメぶりを知っとるはずや。せやけど、一度もそういうこと俺に言わへん。俺のこと信じてくれとるんやな。それで一言も説教せずに見守ってくれてるんや。おかんの信頼を裏切って音楽に逃げ込んでいた自分を反省した。 「ま、気にすんな、逃げずに前へ進んでればいいんだよ。誰にどう見られようが構わないでさ、今を生きる、そんなんがいいじゃない?・・・あ、俺、この後打ち上げとかあるからさ、また電話するよ。忙しいのにきてくれてありがとうな。」 いつものこっちの気持ちまで和む笑顔で井ノ原さんは言った。そして、また1枚CDを貸してくれた。”Very Best”と、書かれた2枚組みやった。 「これ聴いたら、ちゃんと倍は机に向かえよ。」 俺もつい笑顔になった。井ノ原さんって気持ちを楽にしてくれるんやな。おおきに。
ライブの帰り道、井ノ原さんに俺が楽屋へ呼ばれたのを気にしたのか、剛君が言った。 「岡田さあ、快彦に説教されてたんじゃねーか?あいつ、話し出したら止まらないからさ、大変だったんじゃねーの?」 「うん、快彦さん、アツイ男だからね、なんかうるさい位に言いそうかもね。大丈夫だった?」 健君もちょっと心配そうに聞いてくる。 なんだか、皆を心配させたんかな、俺。 「いや、言われて良かった事ばっかだったし、平気やで。」 俺は自然と顔が笑えてきた。あれは説教とかと違う。俺が耳をふさいどったことを、井ノ原さんが気づかせてくれたんや。そして、プライドに押しつぶされていた生きる力を解放してくれたんやで。 「ならいいんだけどねー。」 健君も剛君も心配性やな。俺は大丈夫やで。これからは平気や。 「心配してくれておおきに、二人とも。ただね、俺ひとつだけ不安な事あんねん。」 二人は不思議そうな顔で、なにか、と尋ねてきた。 「明日、模試なんや、健君の最初の質問が大当たりや。明日から毎週なんや、勉強せんと!俺、先に帰るわ、またな。」 俺はあっけにとられる二人を置いて駅へと走り出した。 「一夜漬けじゃ実力とは言えねーぞー!」 剛君が後ろで怒鳴ってた。健君の高い笑い声も聞こえる。た、確かに・・・剛君の言う通りなんやけど。
駅の方向に夕日が落ちるところや。なんかかっこええなあ、俺夕日に向かって走っとる。俺の時間は止まってるわけやなかった。自分が後ろ向きになってただけやった。井ノ原さんの言葉が頭を回る ”逃げずに前へ進んでればいいんだよ。誰にどう見られようが構わないでさ、今を生きる、そんなんがいいじゃない?” そうや、そうやった。俺は俺。自分の時を生きたいな。人を気にすることなく。大阪に戻って勉強するのもいいな。そしたらおかん驚くやろな、きっと。 俺はこの夕日を忘れへん。生きることを再認識したこの日を・・・。
終
^^^^あとがき^^^^ 前2作が(特に剛&昌編)が暗い印象だったんで、かるーくしたら、内容が薄くなってしまいました。メンバーの役回りが気に入らないもので不愉快な気分になられた方、おられましたらごめんなさいね。でも、V6ファンですので、愛を込めて作りました。読んでくださり有難うございました。
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