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一 括 講 読

投稿時間:01/02/20(Tue) 23:54
投稿者名:あやっぺ
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タイトル:ユメの中で。
「クククッ・・・!」

「・・っんだよ、お前。気持ちわるっ!」

不意に隣りから聞こえてきた、何やら意味深な笑い声に、
井ノ原は一瞬ギョッとして肩を竦める。

「クククククッ!」

尚も途絶えることのない笑い声。

「・・・・・」

“なに?”と、ひたすら目で訴える井ノ原を目の端に確認すると、
声の発信源である岡田が口を開いた。

「アレ見てみ」

岡田が指差す先には、仲良く肩を並べて眠る剛と健の姿。
いや、実際のところ“仲良く”ではないのである。

「さっきまで言い争ってたと思ったら、もうアレやで」

「ハハッ!どーせ、またつまんねぇ言い争いだったんだろ?」

「当たり。・・・しっかし気持ち良さそうに寝てんなぁ。俺も寝よ」

早々と眠りの体制をとる岡田。

「なんだよ、俺だけ置いてきぼりかよ・・・」

井ノ原はふてくされたようにポツリと呟いた。



――――――――――

自分目掛けて押し迫ってくるような空の青さを、剛は無心に眺めている。


まぁるい空。
吹き抜ける風の音すら大きく聞こえ、
雲もまたそれに応えるように、柔らかな青の中にその身を委ねる。
暖かい陽の射し込める穏やかな空間。
そこには影など一つも無く・・・


「―――いつからココに居た?」

姿こそ見えないが、それは確かにさっきまで言い争っていた健の声で。

「さ〜ぁな」

剛は大してその疑問には興味も示さず、そして言い争いのことなど忘れたように、
平たいコンクリートの上で気持ち良さそうに伸びをした。
クスクスと小さく健の笑い声が聞こえる。
健もまた、向かいで剛と頭を合わせるように寝そべっていて、
健が笑うたび、触れ合う二人の髪はふわふわと優しく波を打った。

「気持ちいいね」

「そうだな」

二人はゆっくりと目を閉じたが、
健は思いの外明るい陽の光にすぐに目を開け、半身だけをその場に起こす。

「―――“小さい頃、積み木が嫌いだった”って言ってたよね?」

「・・・あぁ」

「なんで?」

「・・・どうせ壊すモンだから」

“この前も言っただろ”と剛は言い返したくもなったが、
あまりにも真面目に話し掛けてくる健の声を、そのまま聞き流していた。

「(クスクス)」

さっきまでとは違う、どこか相手を挑発するような笑い声。
ただでさえ気分の良いものではないのに、
ましてや、それが健から投げ掛けられたものだとあって、剛は少しだけ苛立ちを覚えた。

「なんだよ」

「矛盾してるなぁと思って」

「・・・・・」

「積んでも、いつか壊すんだよ?
 それなら、今、俺らが一生懸命頑張って積み上げてるものってナニ?」

「それは・・・っ」

反論するように勢いよく体を起こしつつも、言葉を詰まらせる剛。


溢れるくらいの“言葉”が欲しい
逃げてばかりだったボクは“言葉”を知らない
キミに伝える術すら持たない
悔しい
そして 苦しい


「・・っ」

舌打ちを続ける剛を、健は静かに見ていた。
決して追い立てることはなく、ただ、じっと剛の“言葉”を待っていた。
そして・・・


「壊れねぇからいーんだよっ!!
 壊れるくらいなら初めからやってねーよっ!!」


ダレが壊そうと思っても
ダレがそれを望んでも
ボクはココから逃げないよ
キミたちだってそうでしょう?


「―――うん」

剛の“言葉”を聞き、満足げに微笑む健の顔からは安堵の色が感じられた。

「ごめん。ちょっと試した」

「?」

「もう22歳にもなるってのに、
 未だに大人ぶったような冷めたガキだったら殴ってやろうと思って」

実に穏やかな健の話しぶりに、
今まで熱くなっていた剛は自分の言動を思い出したように赤面する。

「誕生日おめでとう、剛」


あの頃のボクは オトナであって そうでない
モノは壊れるばかりだと思い込んでいる バカなコドモに過ぎなかった



――――――――――

「寝てる場合じゃねぇぞ〜」

「「うぅわっ!」」

目を開けた途端、坂本に呆れたような表情で覗き込まれ、
剛と健は今度こそ二人“仲良く”飛び上がった。

「お昼寝タイム終了〜」

長野が楽しそうにドアを開けて入ってくる。
中途半端な眠り方をしてしまった岡田は、その眠気を覚まそうと必死である。

「あ〜ら!そういえば森田さん、今日お誕生日じゃないっすか〜!」

突然、わざとらしく声を掛けてきた井ノ原に一発蹴りを入れた剛だったが、
その表情はまんざらでもなく嬉しそうだ。
「おめでとう」の声がメンバー内に飛び交う。

「ほら!三宅さんからも一言!」

井ノ原が促すが、健も剛も一瞬キョトンとして、

「え?いや、もう俺は一回言ったし」

「うん。言われたし」

と、顔を見合わせて笑った。



「今日もお仕事がんばろぉ〜!!」



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