投稿時間:01/01/28(Sun) 13:52 投稿者名:きらきらぽー
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タイトル:NATURAL 1
「こんなことなら、釧路に来るなんて言わなければ良かった・・・。」 と准一は今更ながらに後悔した。兄の快彦は高校受験を控え、この夏勉強を必死にしないとならなかった。この兄弟の母親は小学6年生の弟の准一が周囲でうろちょろと遊んでいたら、快彦が勉強に集中できないのでは・・・と案じていた。それを敏感に察したのか、准一はこの夏休み、北海道・釧路の母方の祖父母の所で過ごすと、自分から言い出したのである。
最初は、本州に比べ涼しい東北海道で夏を過ごすのは楽だと思っていた。口うるさい親とも離れ、快彦に勉強の邪魔とあしらわれることもない、自由に過ごせる事を何より楽しみにしていた准一であったが、静かな祖父母の家、同じ年の友人もおらず、持ってきた漫画は全部読み、いつも使っているゲームも無い・・・暇を持て余すだけの夏休みとなり始めている。 「あー、早く帰りたい。」 准一はため息をついた。
祖母(鷲尾真知子)はホラー映画が好きである。決まって午後の1時になると、夏に定番のホラー映画がテレビ放映される。これが彼女の一日の何よりの楽しみのようだ。昼の「あなたの知らない世界」という夏の特別番組がある日は正午からテレビの前を離れない。准一はこれがとても苦手だった。初めの数日は耐えて一緒に見たが、辛くなり一人で2階の部屋にいた。しかし、古びた家、階下より漏れ聞こえるホラー映画の恐怖に駆られる音声を、慣れない部屋で一人で居る時に感じるのは、小さな准一にとって余り気持ちのいいものではなかった。 「頼む、おばあちゃん、もうその映画見ないでや。俺、なんか気分悪うて嫌やわ。」 こんな言葉を聞き入れてくれる祖母ではなく、 「准一、じゃあ、私が映画見ている間、外に行っていればいいんじゃないの?理科で昆虫採集とか宿題にあるんじゃないの?」 と、気にも留めてくれていない。 「そんな宿題あらへん。それにこの辺まだ俺よく知らへんし。」 准一は反論したが、聞き入れられず、無情にもホラー映画チャンネルにスイッチが入れられた。仕方なく准一は外に出た。
祖父母の家は釧路市内の中心部から幣舞橋を渡り新道の坂を上る途中の右手の住宅地の中である。都心に近い住宅地とは違い、広い庭のある家が多く、宅地化も一段落しているのか家と家の間にはまだ林なども点在している。新道の坂の左手には橋の付近に大きな花時計、市民病院、図書館など公的な建造物が並んでいた。右手の住宅地も平地ではなく、さらに坂道がいくつか分岐しており坂を登りきると小学校があり、そこへ行くまでの道の左右に家々が軒を連ねている。准一の祖父母の家はその坂の上のほうにあった。
准一は坂道を少し登った。坂の下は比較的小さな住宅がひしめき合い、さらに下ると新道にあたり自然はそれほど残っていない。それに祖父母の家に来るときには必ず坂の下のバス停から登ってくるので、坂下の住宅の様子は大体わかっていた。坂の上のほうには林が多かったので、カブトムシの一匹でも見つかるのではないか・・・と彼はほんの少し期待した。坂を2〜3分登った左手には小さな茂みがあり、木々も多かった。准一は木の上のほうを一本一本見上げてみるが、求める昆虫のような類は見当たらない。 「別に、ばあちゃんが言ったような昆虫採集なんて宿題があるわけでもないんやし・・・。」 准一はつぶやいた。結局彼は折角外に出たのだから、何か収穫を得て戻ろうと思っており、その目的物は単純に祖母の口から出た「昆虫」だったのだ。しかし、それらが見つからない今、ため息をつき下を向いた彼の目に映った植物がある閃きを与えた。 「これ、クローバーや!」 准一の足下にはクローバーが群生していた。いつか4つ葉のクローバーを見つけたいと思っていたので、暇つぶしにでも探してみようと思い立つ。うまくすれば理科の宿題の一部にでもあてられる、彼はすぐに気持ちを切り替えしゃがみこみ、クローバーをひとつひとつ指で探りはじめた。 それから収穫無しに20分ほど経過した。 「やっぱあらへんよなあ。無理なんかなあ。」 准一は額に流れる汗をぬぐう。北国なのでそれほど暑くは無いが、日の光がさんさんと彼の黒髪に注いでいた。 キイ、と自転車のブレーキ音が准一の背後で聞こえた。准一が振り向くと、明るい髪の色、肌の白い端正な顔立ちの少年(長野博)が自転車のハンドルを持ち立っていた。背も高く、兄の快彦と同じ位15〜16歳くらいに見えた。その少年は少し不思議そうに准一の顔を見ている。 「こ、こんにちは。」 准一が言うと、年上のその少年も微笑みながら同じ言葉を返してきた。 「君、此処で何しているの?」 少年が准一に尋ねた。准一は答えた。 「四つ葉のクローバー探してんねん。もう長く探してるのになかなか見つからへんのや。」 人見知りをしないタイプの准一はありのままを少年に語った。 「もし、見つかったら、快彦兄貴にも、受験のお守りにやってもよかったんやけどなあ、望みは薄いわ。」 准一が話すのをじっと聞いていた少年は口を開く。 「へえ、優しいんだねえ。」 「もうあきらめた方がええかもしれんなあ。」 准一がため息をついて立ち上がると、少年がちょっと待って、と言った。少年は瞳を閉じた。柔らかな風が一瞬だけ吹いてきた。風が止むと、少年は自転車をその場にゆっくりと止め、准一の探していた群生するクローバーの所までやってきて、しゃがみこんだ。白い手がクローバーを撫で、中から1つ摘んだ。 「はい、どうぞ。」 少年はにっこりと微笑んで准一にそれを手渡した。四つ葉のクローバーだった。准一は驚いた。自分がずっと探しても見つからなかったものを少年がいとも簡単に見つけたからだ。そして尋ねた。 「え〜、なんで〜!?どないしたら、そんな簡単に見つかるん?にーちゃん、教えてや!」 「君にもできると思うよ。」 少年はちょっとはにかむように笑いながら立ち上がって言った。准一はもう一度クローバーの群生の所にしゃがみ、その緑をじっと見つめ、少年を真似てクローバーの上をそっと撫でてみた。ふっとほの温かく手に触れる緑の葉。それをよく見ると目当ての四つ葉のクローバー。 「すげー!俺にもできた!」 准一が感激の声をあげる。 「にーちゃん、おおきに、見つけ方教えてくれて。」 見ると、もうその少年は自転車を押し歩き始めていた。少年の行くさきはどうやら、その林の奥の方のようだ。 「あれ、にーちゃん、どこ行くん?この林の中へ?」 准一が尋ねると、少年は微笑んで答えた。 「ん?だって、僕の家、この奥にあるから。」 少年が指差す方向を見ると、確かに林の奥に建物が見えた。薄いレンガ色の建物。周囲は白樺の木々に囲まれ、准一には最初は気づかなかったのだ。少年は微笑みながら自転車に乗って林の中へと消えていった。
クローバーを摘んでいた林の奥、蔦が絡まる黒い鉄の扉を開けて中庭に少年は自転車を止める。苔むした大きな石が玄関まで続くその家が、その端正な顔の少年、長野博の家である。 「ただいま。おばあ様」 博が家に入ると、中には祖母と思しき老婦人が待っていた。 「お帰り、博。外で人と話していたようだけど?」 窓からでも見ていたのであろうか、准一と話していたのは十数メートルは先であったのに、博の祖母は尋ねてきた。その問いに、微笑みながら頷く博。 「無駄なチカラは使ってはならぬというのに・・。」 祖母は博の行動に不満げに呟く。 「ごめんなさい、おばあ様、でも、あの子供はちょっと違うような気がしたものですから。」 博は窓の外を見やる。遠く、林の入り口あたりでまだ黙々と准一は四つ葉のクローバーを摘み続けていた。 「ほらね、僕がいないのに、あの子はどんどん見つけている。」 博はにっこりと笑った。祖母も少し驚いたように窓の外の子供を見たが、すぐ目をそらしうつむいて、 「お前のチカラに反応しただけじゃろ。」 と答えた。窓の外の准一は遠いのに、二人には彼が行っている事がすぐそばに居るように解った。博と祖母、彼らは普通の人とは違っていた。
「大収穫や!」 その日の夕食後、准一は嬉々として実家に電話をかけ、得意げに兄・快彦に話す。夕方までに准一は50枚もの四つ葉のクローバーを見つけたのだ。それを祖母はせっせと押し葉にするべく、厚い電話帳にはさんでくれている。 「へー、なんでそんなに取れたんだ?」 電話の向こうの兄・快彦も驚いている。准一とは兄弟ではあるが快彦は東京の言葉で話す。理由は准一が言葉を覚える頃、関西に数年家族は住んでおり、准一のみなかなか関西弁が抜けないのだ。快彦は東京にすぐに順応し関西弁を話す事は無かった。 「なんかなあ、その林の奥に住んでるにーちゃんが教えてくれたんや。そのにーちゃんに会ってからどんどん見つかるようになってな。」 「へえー、林って、坂の上の左手の?あの奥の家って、子供住んでいたっけな?俺、知らないけどな。」 准一より何度か多く、祖父母の家に幼少より来ていた快彦は首をかしげた。 「俺、そんなん知らんわ。あとでばあちゃんに聞いてみるけど、とにかく綺麗な顔したにいちゃんがおったんや。・・・とにかく、快兄(よしにい)にもこの四つ葉のクローバーをしおりにしてあげる。これ持っとったら、受験上手くいくで、きっと。」 「ああ、ありがとよ。気持ちだけでも楽になるよ、准一。さんきゅー。」 快彦の笑い声が受話器から響いてくる。准一は嬉しくなった。今日の昼まで帰りたく思っていたのに、今はそうでもなかった。楽しくなりそうな予感がした。
北海道にいる准一からの電話を切った後、快彦は深いため息をついた。 「あー、俺も行きたかったなあ。」 快彦は、ひとしきり、夏によく行っていた北海道の事を思い出した。准一と一緒のときもあったが、単身のときも何度かあった。にぎやかでおしゃべりな快彦は、祖父母から面倒がられるときもあったが、北海道では夏のキャンプなどに参加していた。涼しい清流でのキャンプは彼にとって都会を忘れられる憩いのひと時となった。そんな時、気の合うキャンプチームの先輩、坂本昌行と出会ったのだ。年こそは違えど、二人はすぐに親しくなり、快彦の北海道での夏には必ず行動を共にできる友人となっていた。何より楽しかったのは、昌行の祖父から聞く、北海道に伝わる昔話だった。快彦はそれらにいつもわくわくと興奮したものだった。 「まあくん、どうしているかなあ。俺も行きてー!」 快彦は電話の置いてある廊下で大声を出した。 「快彦!何言ってんの!あんたは受験生でしょ!」 すかさず、母親の叱責が飛ぶ。 「ああ、この現実よ・・・。」 すごすごと自室へ戻る快彦であった。
連日のように、放映される怪奇映画のために、翌日もその時間は准一は外に出ることにした。昨日のことも気になって、同じ林の入り口をうろうろしてみた。また、あの綺麗な顔をした少年が現れるのを期待した。少しの間林の中を探検するが如くしながら待っていたが、出会うことはなかった。准一は少しがっかりしながら、林をあとにし、坂道を下り始めた。その時、鼻の薄いピンクの白い大きな犬が坂の下のほうから自分の方へ向かって歩いてくるのが見えた。 「でっかい犬やな。」 准一はそう思い、坂を下る。だんだん近づいてくる犬。犬嫌いでもないので特に恐れる事は無い准一。 犬と准一との間が6メートル位になった時、犬の目がギラリと光った。それは性質の悪い野良犬特有の動きだった。犬は後ろ足で砂利を少し蹴飛ばしたかと思うと、准一めがけて走り出した。准一は体が硬直し、逃げる事が出来なかった。 「襲われる!」 准一は目をつぶった。
その瞬間、昨日と同じ柔らかな風が背後から吹いてきたのを准一は感じた。 「去れ。」 静かな言葉が風と一緒に背後から流れてくる。それと同時に眼前に迫っていた大きな白犬の動きが止まった。 「え、なんや?」 准一がそっと目を開けると、犬がくうん、くうんと小さく泣きながら、きびすを返し坂を下っていくのが見えた。 「た、助かったあ〜。」 准一はほっと息をつき、その場にへたり込んだ。 「大丈夫?」 その時、さっと、白いほっそりした手が目の前に差し出された。准一が頭上を見ると、その手の主は昨日の綺麗な少年だった。少年は柔和に微笑み、准一に手を差し出している。 「あ、あなたは・・・。」准一が言う。すると、少年は准一の手を取り立ち上がらせた。 「大変だったね。」少年は准一をなぐさめるように優しく言った。 「ありがとうございます。昨日も、今日も。」 「いやいや、何もしていないよ。」 「でも、今日も、犬を追い払ってくれたし。」 「僕は此処に立っていただけだよ。」 少年は微笑んだまま答える。 「そやけど、あなたがいなかったら犬に噛みつかれる所でしたよ、ほんまに。」 准一は、博がなんの手も下していないという不思議に気づかずに続ける。 「じゃ、まあ、そうゆうことにしておこうか。」 少年は困ったように言ったが、顔はにこやかなままだった。 「俺、岡田准一っていいます!この坂のちょっと下の井ノ原っていう家、じいちゃんとばあちゃんのとこに夏休み中遊びにきてるんです。」 准一はその場から見える祖父母の家を指差した。それを聞いていた少年は 「僕は長野博。家は知ってるよね。この林の奥。退屈しているようだったら、いつでも遊びにおいで。」 とにっこり笑って言い、その場を博は去った。
博と別れた准一はまた祖父母の家へもどるべく、再び坂を下った。更に坂の下の行き止まりのあたりで、複数の犬のほえ声が聞こえた。准一が見ると、先ほどの大きな白い犬が別の散歩中の犬の方に喧嘩を仕掛けていた。 「おい、よせよ。レッド!」 准一と同じ位の年の華奢な犬の飼い主が、首につける自分の犬レッドの縄を引く。その飼い主の少年の友人であろうか、目つきの鋭い少年が棒切れで白犬を追い払おうと苦戦している。 「おい、野良!こっちに来るんじゃねーよ。・・・健、今のうちにレッドを連れて逃げろ。ここは俺が引き付ける。」 棒を持った目つきの鋭い少年が叫ぶ。しかし、健と呼ばれた少年は足がすくんで動かない。 「ダメだよ、剛、僕・・・。」 少年達はかなり苦戦しているようだ。准一は坂を一気に駆け下り怒鳴った。 「あっちに行け、野良犬!」 犬に通じるわけが無い。しかし、准一が言うのとほぼ同時に、また柔らかな風が一瞬吹き、白い大きなその野良犬が吠え付くのをやめた。さらに准一がじっとその犬をにらむと、ついさっき坂の上でとまるで同じように犬はその場を去っていった。その姿を見てほっとする反面、坂の上では自分が噛みつかれそうになっていたのにその犬を相手に怒鳴りつけてしまった自分に脱力する准一。その場に再びへたりこむ。 「おい、お前!すっげーなあ!」 目つきの鋭い、ウエーブがかったシャギーカットの少年(森田剛)が准一の肩をたたきながら話し掛けてきた。おずおずと、自分の愛犬を抱きしめながらもう一人の少女のようなセミロングヘアの少年(三宅健)も言う。 「ありがとう・・・。怖かったでしょ?」 確かに今になってみると怖い。しかし、なぜかまるで後ろからトンっと背中を押されるように、彼らが困っているのを見ていられなくなって、こんな大それた事をしてしまったのだ。准一は大きく深呼吸をしてから答えた。 「大丈夫や。あんさんらこそ、怪我せえへんかったか?」 すると、つい今の今までもじもじとしていた少女のような子・健がプッと吹きだした。 「あれ?大阪弁?」 「なんや、おかしいか?」 准一が聞き返すと、くりくりとした瞳で興味深そうに少女のような子は、准一の顔を覗き込んでくる。 「なんだ、よそもんだな。」 きつそうなシャギーカットの少年・剛も不思議そうな顔をした。 「あんな事が出来るんだもの、長野の家のヤツかと思った。」 「え?」 准一はその目つきのきつい子の最後の言葉を耳を疑った。 ”長野の家のヤツかと思った・・・?どういう意味だ?” 「ま、いいさ、俺は森田剛、この先の海辺へ行く道ぞいにある赤い屋根がほら、俺のうち。よろしくな。」 森田と名乗る少年が座り込んでいる准一の手をひっぱりギュッと強引に握手をする。 「よろしく、僕は三宅健。僕のうちはここ。」 健の指差したのは坂を下った行き止まり、その突き当たりの家だった。 「俺は、岡田准一。小6や。ほら、坂を登って真中くらいにある井ノ原さんの所の孫なんだ。夏休み中、じいちゃんたちに世話になってるんや。よろしく。」 話をすると、どうやら二人は同じ学年らしい。准一は嬉しくなった。こんなに近くに自分と同じ年の子供がいるなんて。だんだん夏休みが楽しくなってきそうに思えた。
同じ頃、長野博はまた祖母から小言を言われていた。 「博、毎日、見知らぬ子供に関わっているようだが、所詮お前には無関係の子供。チカラを無駄にはすべきではない。」 「おばあ様・・・。」 博は苦笑する。 「私の次の代は、お前にかかっているのだ、わかっておろうな。」 祖母の厳しい言葉に反論はしない博。彼の瞳は遠く窓の外を見つめる。
”『ごめんね、博。母さんは札幌でお仕事をしないといけないの。きっと迎えに来るから、それまでここでおばあちゃんと暮らすのよ。分家の昌行くんもいるしお友達がたくさん出来るわ、博はいい子だから大丈夫よね』
そう言って、母が祖母に僕を預けたのはいつの事だったろう。
記憶もそろそろセピアカラーに色あせてくる。
でも、きっと母は帰ってくる”
祖母は博の気持ちを察したようにつぶやく。 「全くあれも馬鹿な娘だよ。息子の博をここに残して・・・。自分は一体何をしているんだか。連絡1つよこしゃしない。」 博はうつむいた。 ”きっと、帰って来るよね、母さん。もうすぐ、いつか、僕が大人になる前に。” その時、玄関に人が現れた。招かれざる客。そう、長野の家にとって誰もが招かれざる客である。祖母は人を嫌う。孤立した状態を好んだ。 「こんにちは、おばあ様。」 背の高い、ニヒルな感じの青年がそこに立っていた。分家筋の坂本昌行である。分家ではあるが、特殊な事情により本家以外は”長野”という姓を持てないしきたりがあり、”坂本”と名乗っている。 「昌行・・・。」 博は祖母の後ろで出迎える。暗くなっていた気持ちに少しだけ光が差す。友人が訪ねてくれるひと時は博にとってとても貴重だった。
^^^^つづく^^^^^
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