投稿時間:00/09/19(Tue) 20:02 投稿者名:ピンキー藤原
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タイトル:帰ってきたターザン Part2
「何でオレ等が迎えに行かなきゃなんねーんだよ!」 「しょうがないだろう。前回は井ノ原達だったんだし」 船を降りた時からぶーたれたままの剛を連れだって、長野はジャングルの奥地へとぐんぐん歩いて行く。 「大体さ〜、何で坂本君はこんな所に暮らしているワケ?オレ等も暇じゃないんだし、坂本君一人のためにこんな面倒くさいことさせないで欲しいよね」 口は達者だが、手はしっかり長野のシャツの裾を握って離さない剛。 「確か井ノ原の情報ではこの辺りだと思うんだけど…」 長野が止まって地図の確認をしていると、二人の横をシャッと黒い影が通り過ぎた。 「ひいっ!な、何かいるよ!な、なな長野君!い、いいい今何かオレの横を…ッ!」 長野の背後に隠れ、必死に長野の背中にしがみ付いている小心者の男が一名。 二人は回りをキョロキョロと見渡しながら、先程の影の正体を見定めようと目を凝らした。 「う、うぎゃああああああああ!!!!!」 背後の剛の声に驚いた長野が、慌てて振り返ると、 「さ、坂本君…」 長野は久しぶりのメンバーの顔に安堵の表情を浮かべ、微笑んだ。 「長野…久しぶりだな…。剛、相変わらず肝っ玉の小さい男だな…」 「ウ、ウルセーーーーッ!!アンタが驚かすからだろう!!」 坂本は痩せた半身を曝け出し、二人の元へと近付いた。 まだ怯えている剛は、長野の背中にへばりついたまま、疑いの目を向ける。 「ア、アンタ本当に坂本君か…?」 「今の名はターザン坂本。この森の平和を守るために生まれてきた」 「アンタV6はどうしたの?」 「ふふ…V6か…。懐かしいな…。楽しかったな、あの頃は…」 「何思い出に浸ってんだよ。つい二週間前のことだろう。いい加減戻るよ。早く支度して!」 「二人の気持ちは嬉しいが、私はここを離れることは出来ないのだ。森の王者、ターザンなのだから」 すっかりターザン気取りの坂本に、長野と剛は呆気に取られる。 「あ、あのね、坂本君。事情は井ノ原達から聞いてるけど、君がいないとやっぱり困るんだよ!海外で研修中なんていつまでもファンの目を誤魔化せないしね」 「ほら!ここに代表して坂本君のファンから手紙を預かっているんだよ!今から読むから…『拝啓、坂本様。海外の居心地はいかがですか』」 剛が読み上げるファンレターを、坂本は目を反らしたまま、じっと聞いていた。 「『あなたがいなくなってから二週間。もうすっかり顔も声も忘れそうです』」 二週間見てないだけで忘れんなよ!ろくなファンじゃねーな。 「『でもあなたがいないとやっぱり寂しい。悲しい。早く戻ってきて。あなたはV6のボケといじられ役なんだから。まゆき』」 ……もう少しマシなファンレターを紹介して欲しかったな…。 剛は手紙をしまうと、坂本の目を見て顔を上げた。 「オレ達…坂本君がいなくなってから色々話し合ったんだ」 「……」 「オレ達、やっぱり坂本君がいないとやっていけねーよ」 「剛…」 さっきの薄情な手紙よりずっと嬉しいことを言ってくれる。 「戻ってきてよ…。頼むから…」 涙ぐんで懇願する剛に、坂本は心の底から感動する。 長野もその剛を労わるように、肩を擦ってやった。 「オ、オレを待っているのか…?」 「そうだよ。皆、坂本君の帰りを待ってる…」 「長野…剛…」 「坂本君がいないと…滝沢がV6に入ってきちまうんだよ!」 「へ…?」 「アイツが入ってきたらオレ達の人気、全部ヤツに取られちまう!」 「そ、そういう理由か…」 坂本は天国から地獄に突き落とされたような感覚に陥った。 「長野…剛…せっかく迎えに来てもらって悪いが、やっぱりオレはここに残るよ」 「ええっ!何でだよ!こんなに説得してるのに!」 自分の胸に聞いてみろ!全く。井ノ原といい、岡田といい、こいつ等といい …あれ? 「オイ、健はどうした?」 「ああ、アイツ?愛犬の具合が悪いからって来なかった」 オレは犬以下か…。 「オレは戻らん」 「そんな!坂本君!」 「オレはターザンだ。森の王者なのだ。この森を捨てて日本に戻ることは出来ない」 長野と剛は顔を見合わせ、予想していたとばかりに溜め息を吐くと「出すか」と言って何やらリュックの中からゴソゴソと取り出した。 坂本は何だろうと、訝しげに二人を見る。 「君にこの誘惑は耐えられるかな?」 にやりと笑う長野の手元を見ると、そこには昔から愛してやまない缶ビールが! 驚愕に口を開きっぱなしの坂本を前に、長野は小気味良い音を響かせ、ビールのプルトップを開けた。 「ぷはーーーっ!これだなっ!」 ゴクゴクと音を鳴らし、うまそうにビールを飲み干す長野の姿に、坂本は羨ましすぎてゴクリと唾を飲み込んだ。 「ほーら!漬け物のフルコースだよー!」 剛は数々のタッパーから桜大根や梅干を取り出し、坂本の目の前でポリポリと美味しそうに頬張った。 「あ…あう…」 「欲しいだろ?!じゃあ帰ろう!」 満面の笑みで促す長野達の誘惑に、坂本は酔ったようにフラフラと近寄っていく。 「よーしよしよし。良い子だ…」 二人がもう少しで坂本を取っ捕まえようとしたその時、プルルと携帯電話の着信音が坂本の目を覚まさせた。 「あんだよ…こんな時に…もしもし?あ、健?」 坂本と長野は会話に聞き耳を立てた。 「えっ!マジ?良かった〜!うん。ありがとな」 剛は言葉少なに話し込み、電源を切ると長野に向き直った。 「あのね、滝沢がV6の仲間入りを拒否したんだって!」 「え?本当?じゃあオレ達だけで大丈夫ってこと?」 「うん!だから戻って来いって。健が」 「やったーーーーーーーーー!!」 長野と剛は共に抱き合って喜んだ。 「あ、坂本君。どうする?一緒に帰らない?」 一気に感動が冷めた坂本は、頑として首を横に振った。 「オレはターザンなのだ。森の王者なのだ。この森を捨てて日本に戻ることなど…」 「あっそ。じゃあ頑張ってターザンの義務を果たしてね」 え…。お、お前等も井ノ原達と一緒なの? ぽつんと佇む坂本を残し、長野と剛は元来た道を引き返していった。
「いや〜良かった良かった。とりあえずこれでV6も安泰だね」 「これからはV5になるんだね。慣れとかなきゃね。その名前にも」 長野と剛がそんな会話を交わしながら和気相合とジャングルの中を歩いていた時、いきなり二人の目の前に数匹の小柄なゴリラが現れた。 「う、うわっ!」 剛に飛びかかり、ゴリラ達は驚き叫ぶ剛達の手中からリュックを荒々しくひったくると、足早に森の奥へと逃げていった。 「テメーーー!このゴリラ!食料返せ〜〜〜〜〜〜〜!!」 もちろん、剛達の怒号の叫びは届くはずもなかった。 鳥が囀り、獣達の遠吠えが響くジャングルの奥地で、一際高い木のてっぺんで森を見渡している男が一人。 そこには、たくあんをポリポリ頬張りながらゴリラ達を従え、森の平和を見守るターザン坂本の姿があった。
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このシリーズを覚えていてくれていた人がいた、ということで調子に乗ってパート2をアップしました。ヨイショに弱い単純な私。続きは…全然考えてません。てへ。(逃)
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