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投稿時間:00/06/11(Sun) 19:38
投稿者名:ピンキー藤原
Eメール:saorio@wave.plala.or.jp
URL :
タイトル:坂本家の難儀な日々 第1話
これは貧乏ながらも、毎日を一生懸命生きているとある一家の、愛と涙の物語である。(ハンカチの準備をお忘れなく)

坂本昌行……
 坂本家の主。趣味は競馬と釣り。
 女房に怒られ、子供達にナメられ、父親としての威厳はあまりないが、いざという時は頼りになる父親。(でもいざという時はあまり来ない)

 博子……しっかり者の料理上手なお母さん。四人の子供にいつも悩まされている。

 快彦……長男。中学三年生。ただいま受験ノイローゼ中。彼女いない歴15年。

  剛……次男。小学六年生。学校では手のつけられない暴れん坊。

  健……三男。小学五年生。成績優秀、容姿端麗の優等生。でも少々毒舌。

 准一……四男。小学四年生。何故か関西弁。いつもランドセルを背負っている。

「だたい…」
帰宅した長男、快彦の言葉が途切れた。
「おかえりー」
兄の固まった顔を気にも止めず、悠長に返事をする弟達。
「な、なんなの。この夕飯…」
「見ての通り、焼きそばじゃねーか」
「今夜は焼きそばUFOよ。お湯入れて食べなさい」
「…あの、オレ…部活でヘトヘトになって帰ってきたんだけど…」
「しようがないわねえ。じゃあお母さんがお湯沸かしてくるから、袋から取り出しといて」
そう言うと、博子お母さんが台所に消えていった。
呆然と食卓に座っている弟達を見渡すと、歯に青海苔をいっぱいつけてガツガツと無心で食べている。
快彦は着替えるのも忘れて弟達の横に座ると、力なくインスタント焼きそばの袋を破いた。
「ちょ、ちょっと!よっちゃんっ!」
母が慌てて快彦の手を止める。
「焼きそばUFOの入れ方を知らないの?まず麺を取り出すの。それからその底にかやくを入れるのよ。そして麺を入れてお湯を注ぐの。そうすれば湯切りの時かやくが蓋に付かなくて済むでしょ?」
「……」
納得するより呆れて物が言えない快彦。
「母ちゃん頭いい!」「豆知識が豊富だね!」「おかんは日本一や!」
「おーほっほっほ!正直な息子達だわ!」
快彦は泣きたくなった。
無言で焼きそばを食べていると、「ただいまー」と父親が帰ってきた。
「何だよー。今日の夕飯はしけてんなー」
「あなたがまた競馬ですったのが原因でしょ」
「え!な、何言ってんだい母さん」
「とぼけなくても結構です。昨夜、あなたの携帯着信見たら城島さんからメッセージが入っていらしたわよ」
博子母さんはそう言って焼きそばを口に掻っ込んだ。
「い、いやだなー!母さん、また人の着信履歴調べたのー?悪趣味だぞう」
「父ちゃん、これ父ちゃんの分」
剛が同じ焼きそばUFOを渡す。
「おおっ!なんて豪勢なんだろう!やっぱり我が家の食事が一番だなあ!」
「………」
無言で父親をシカトする冷たい家族達。
「き、今日は何かいいことあったか?准?」
昌行は誤魔化すように一番風当たりの少ない末っ子に声をかけた。
「うーんとねえ、宿題忘れたんやけど、先生が休んでたから廊下に立たされないで済んだ!」
「おおー!それはラッキーだったなあ!」
「うんっ!でへへ〜!」
「准、それは誉めたんじゃないの!お父さんも准を味方につけようたってそうはイカの金○よ!」
「…母さんは何気に下品だなあ…」
こうしていつものように坂本家の夜は更けていった。

「腹減ったなあ〜…」
「腹の虫が泣き止まないよ…」
剛と健が布団の上で空腹と戦っていた。
「オレ、台所行って何か探してこようかな…」
准一がむくりと起き上がり、腹を抑えて部屋から出て行こうとする。
「ま、待てよ。オレも行くよ!」「オレもー…」
三人はあまり当てにならない台所へとやって来た。
「何か食えそうなのあるか?」
冷蔵庫を漁っている健に、剛が尋ねる。
「調味料ぐらいしかないねー…」
「こっちも。缶詰の一個もないわ」
「ま…、こんなこったろうと思ってたけどな…」
戸棚を閉め、溜め息を吐く小学生達。
「父さんのビールが占領してるよ。冷蔵庫」
「ちくしょー…可愛い子供達にひもじい思いさせて、自分は贅沢しやがってな」
「あの満面の笑みで飲んでる姿が許せないよね」
「こうなったらこのビール全部、振ろうか?次に飲むときは泡が溢れて父ちゃん慌てるぞ〜!」
「そんなもんより、アイスピンで小さく穴開けるってのはどうだ?」
背後の声に振り返ると、長男の快彦が小声で近寄ってきた。
「快兄も眠れないの?」
「こんなんじゃ受験勉強も手につかねーよ」(嘘つけ)
「兄ちゃん、穴開けると炭酸が抜けるんだよね」
「ああ。炭酸のないビールは最悪らしいからな」
「さすが快兄!悪知恵ナンバーワン!」
「兄ちゃんは日本一や!」(?)
「よっしゃ!じゃあ早速始めようぜ!」
四人が嬉々として冷蔵庫からビールを取り出し始めると、
「随分楽しそうな話をしているじゃないか…」
「へ…?」
おそるおそる振り返ると、大魔人のように腕を組んで立っている父、昌行の姿が。
「と、父ちゃん、ごめんね。起こしちゃった…?」
「こんな狭い家でゴソゴソやってたら誰でも起きるっちゅーんじゃ!!」
ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!!
父の容赦ない拳骨が頭上に炸裂する。
そして、四人の襟首を掴まえると、庭先に放り投げられた。
准「父ちゃん勘弁してな〜!オレ宿題せなあかんし〜!」
快「オレも受験勉強しなくちゃなんないんだよ〜!オレが浪人してもいいの〜?」
健「父さんー!あれはジョークだよ!フランスジョーク!」
剛「オレ明日給食当番なんだよ〜!(関係ない)早く寝ろって先生に言われてんの〜!機嫌直してよー!!」
「やかましいッ!しばらく蚊にでも刺されて反省しろ!」
「そんな〜!!」
四人の子供達の絶叫が、夜空に響き渡った。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 新作を発表したのは良いのですが、これが果たして続くのかどうか…。
 それは神(hongming先生)のみぞ知る(笑)。
 家族ネタはこのサイトにも沢山ありますが、どの作品も読んでて楽しいものばかりなので、私も挑戦してみたくなりました。
 もしかして1回で終わるかもね(笑)。そうしたらそうしたで精進します!
 では、二回目もあることを祈って♪

投稿時間:00/06/14(Wed) 20:09
投稿者名:ピンキー藤原
Eメール:saorio@wave.plala.or.jp
URL :
タイトル:坂本家の難儀な日々 第2話
快「フー…」
剛「健、そこの醤油取って」
健「あいよ。」
快「フー…」
母「ちょっと准!餃子は一人三個までって言ったでしょ?!」
准「そんなこと言うたかて、オレ育ち盛りやもん」
快「フー…」
父「母さん、味噌汁おかわり」
母「おかわりはないから大事に飲んでって言ったじゃない!」
快「…ちょっと」
ついに長男快彦が箸を置き、皆に向き直る。
「思春期の兄が溜め息を吐いているのに、お前等は何の質問も無いのかよッ?」
准「兄ちゃん食欲ないの?じゃあオレが餃子もらってもええ?」
快「誰が食わないつったよッ!そう言う質問じゃなくて、どうしたの?溜め息ばかりついて何かあったの?くらい聞くもんだろ?家族なら!」
剛「どうしたの?溜め息ばかりついて何かあったの?」(棒読み)
快「何だよ!愛がこもってねーぞ!」
父「どうせまた成績が落ちたって話だろ」
健「耳にタコ」
快「ちげーよッ!受験なんかよりもっと重大な話!」
母「よっちゃん。どうでもいいけど食べるか話すかどっちかにして頂戴。片付かないじゃないの」
快「母ちゃん、長男のことが心配じゃないの?」(泣)
父「話したいなら話せばいいだろ。何なんだよ一体」
快「そこまで聞きたいなら仕方ないな…。ぶっちゃけた話…オレ、今…恋してるんだ…」
剛、健、准「ごちそうさまー」
母「お皿は水につけといてね」
快「ちょっと待てよッ!続きを聞け!」
三人の小学生は聞く耳持たずで立ち上がる。
快「ちょっとマジ、マジで聞いてよ!ねっ?すっげー良い話なんだからさ!」
剛「あのね、大体こういう話って小学生の弟達にするか?して楽しいのか?」
快「剛く〜ん!そんな冷たいこと言わないでよぅ〜!」
健「兄としてのプライドは無いのか。この男は」
快「健く〜ん!可愛い顔してヒドイ事言わないでよぅ〜!」
准「オレ、聞いたってもええで」
快「准っ!お前ならオレのこと分かってくれると思ってたよ!」
准「その代わり、その餃子くれ」
「う…っ」と詰まり込む快彦。
父「快彦、父さんがいるじゃないか♪人生経験が豊富な父さんが!」
母「あなた!人生経験が豊富って私が最初で最後の女って言ってたじゃない!」
父「え?い、いや!あの…っ」
母「何よ!私の前にもやっぱりいたのね!何人よ?!もしかして今もって事は無いわよね?!」
父「そ、そんな事あるわけ無いじゃないかっ!母さん一筋!」
夫婦喧嘩がおっ始まりそうな中で、快彦は自分の話が無視されていることに気付く。
「オレ…家出しようかな…」
長男快彦の嘆きは、母が父をホウキで殴っている音にかき消された。

数日後。
快「フー…」
剛「健、そこのソース取って」
健「あいよ。」
快「フー…」
母「准!野菜も食べなきゃダメでしょ?]
准「何でトンカツが三切れで、キャベツは山盛りなんや」
快「フー…」
父「母さん頼むよ!後一万でいいから!ねっ?」
母「今月の分はちゃんとあげたでしょ?無駄遣いが多いからそういう目に合うんですっ!」
快「…あのさ」
全「何だよ」
快「オレやっぱ受験生だし、恋は必要ないって分かった」
全「フラれたならそう言え」
坂本家のいつもの風景だった。

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 いのっちファンの反感を買いそうだ(笑)。
 しかも台詞ばかりですみません。
 次回はもう少しお話っぽくしてみますね。決して放棄した訳ではございませんので(笑)。でわ♪

投稿時間:00/06/18(Sun) 18:31
投稿者名:ピンキー藤原
Eメール:saorio@wave.plala.or.jp
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タイトル:坂本家の難儀な日々 第3話
「剛〜!お前にお客さんだぞ」
教室で掃除当番ながらもホウキでチャンバラごっこをしていた剛に、クラスメートが大声で声をかけてきた。
「客?オレに?」
「うん。女の子。5年生みたいだけど」
剛は「女の子〜?困ったなあ。オレ年下には興味ないんだけど〜」と言葉とは裏腹にデレデレしながらドアの前にやって来る。
待っていたのは2名の女の子。なかなか将来有望な可愛い顔をしている。
「あ、あの!坂本さんですよね?」
「そ、そうだけど…」
クールを装いながらも、心中でガッツポーズを決める。
「こ、これ…健君に渡して下さいっ!」
「へ…?」
目を点にしている剛の手に手紙らしきものを押し付け、彼女達は「きゃー!渡しちゃった〜!」と大喜びで駆け出していった。
「……剛、またなの?」
「気をしっかり持てよ」
クラスメートの長瀬と光一が同情の眼差しで剛の背中を叩く。
剛の側を冷たい風が吹き抜けた。

「健、これお前にってわざわざ!届けて下すったよ!オレの元へ!」
皮肉をたっぷり含めて渡した可愛らしいファンシー封筒を受け取り、健は名前を確認すると開封もしないでゴミ箱へ投げ捨てた。
「おい!お前いつも言うけど中身ぐらい見ろよ!」
「興味ないもん。オレは部活のことで頭が一杯なの」
この健という坂本家の三男坊。
女の子顔負けの美貌と、母性本能を擽るミラクルボイスの持ち主。
成績はいつもトップクラス。所属する水泳部では先輩を出し抜くほどのエース的存在である。そんな男だから、女の子達が騒ぐのも無理は無い。
「お前さ、前から思ってたけど好きな女の子とかいないの?」
「……」
少し赤くなって俯く健。
「あ、いるんだ?」
剛はニヤニヤしながらいやらしい目つきで健に詰め寄った。
「そっか〜。お前も男だったんだねえ。兄ちゃん安心しちゃったよ!」
「好き…っていうか尊敬っていうか…」
「バーカ!何でお前はいつもそう難しい方向に考えるんだよ!好きなら好きでいいじゃねーか!」
「剛は単純で良いよね…」
健は呆れたように溜め息を吐いた。

「ふーん…健にもそんな相手がいたなんて意外だなあ…」
「だろ?でも片想いらしいんだ。あんなにモテるのに本命には振り向いてもらえないってパターンだな。ま、男は顔や頭だけじゃないって事だ」
「そうそう。人生って難しいのよ」
長男の快彦と剛がテレビを見ながら談笑していた時、四男の准一が挙動不審な態度で学校から帰ってきた。「どうした?」と尋ねると、
「に、兄ちゃん達。今な、健兄ちゃんが女の人と…」
「えっ!健がッ?!」
剛と快彦が好奇心丸出しで立ち上がると、玄関へと飛び出した。
健たちの姿が見えた途端、思わず柱の影に身を隠してしまう三人。
「あ、あれか?」
健と並んで歩いているのは、背中までの長い髪を下ろし膝丈までのワンピースを着た、いかにも上品なお嬢様タイプの女の子。
快「なかなか可愛いじゃねーか…」
剛「あれ…、確か五年生の渚ちゃんって子だ…」
准「剛兄ちゃんさすがに詳しいなあ…」
剛「うちの学校の来年のミスほぼ確実って言われてる子だぜ。チクショ〜!やっぱ男は顔なのか〜?」
半泣きの剛を引きずるように、健達の後をつける三人の暇人兄弟。
快「しかし健って好きな女の子と一緒にいてもいつもと変わんねーな」
准「女の子のほうが嬉しそうに喋ってるみたいやな」
剛「今度アイツの味噌汁にゴキブリ入れてやる…」
そうこうしている内に到着したのは、圧倒されるほどの豪邸だった。
「すっげー家だな…」
「家の何倍あるかな…」
開いた口が塞がらない男達の目の前で、健たちは大きな玄関を突き抜け、入っていった。
快「はあ〜…健はここの養子に入るつもりなのかなー…」
准「ええなあ…美味いもん、いっぱい食えるんやろうなー…」
剛「それがお前の幸せの基準なのか?」
くだらない話で盛り上がっていると、健が渚ちゃんに見送られ姿を見せた。
慌てて隠れた三人は、健たちの会話に聞き耳を立てるが遠すぎてなかなか聞き取れない。
快「あんなに早く出てくるとは思わなかったよ」
准「20分くらいしか居なかったんやないの?」
剛「ふむふむ。モテる秘訣…長居は禁物と…」
感心してメモる剛。
健は渚ちゃんと別れると鞄を抱えなおし、颯爽と家路へ向かって歩き出した。
「しようがねえ。オレ達も帰るか」
「ちぇ。結局健の恋は成就したって訳か」
面白くなさそうに剛がぼやいて踵を返した時、側にいた准一とぶつかり、カラン、と准一の背負っていたランドセルから縦笛が落ちた。
音に振り返った健は、
「あーっ!何でお前等がいるんだよ!」
「えっ、あ、あら。健君奇遇だね!」
「あっ!さてはお前等、人の後つけて来たんだろ?」
「え、えへへ〜」
健は三人の兄弟に呆れ返りながら、とっぷり暮れた夜道を並んで歩き出した。
帰宅した玄関先では母、博子が鬼のような形相で待っていた。

次の日の日曜、相変わらずダラダラと過ごしていた坂本一家の中で健が徐に立ち上がり、母、博子に「母さんこれ」と言って小さな折り紙を手渡した。
「今日、母の日でしょ?オレお金ないし。だからこんなものしかプレゼント出来ないけど…」
健は照れ臭そうに、母に言う。
折り紙で作られたカーネーションのお花は、花びらの部分もちゃんとギザギザにハサミで切り込まれ、そばに「いつもありがとう」の言葉が書かれていた。
「まあ健ちゃん、嬉しいわ。どうもありがとう!」
博子母さんは零れんばかりの笑顔で礼を言った。
「昨日、帰りが遅くなったのはこの折り紙を習っていたせいなんだ。ごめんね」
はにかむように誤る健に、博子も首を振って微笑んだ。
「あれ?お前渚ちゃん家に行ったのって…折り紙を習ってただけなの?」
「そうだよ。何だと思ったの?」
「いや…てっきりお前等付き合ってるのかと…」
「付き合うも何も、オレまだ小学生だよ。渚ちゃんとはただのクラスメート。言っただろ?オレ部活のことで頭一杯なんだから」
「じ、じゃあお前の好きな人って…」
「ああ、あれ母さんのこと。尊敬してるって言ったじゃん」
快彦と剛、准一は顔を見合わせると肩を落として脱力する。
快「そういや今日は母の日だっけ…」
准「じゃあオレも、肩たたき券でも作るわ」
剛「オレもお手伝い券でもあげるかな」
快「オレはどうしよっかな…。父ちゃんの浮気調査券でも作るかな」
剛「あ、それは絶対ないから大丈夫!」
笑いが絶えない子供たちを遠くで眺めながら、父昌行と母博子は肩を並べ、微笑みあった。
母「家の子はいい子達ばかりね」
父「ああ。さすがオレの息子達だ!こりゃあ父の日も楽しみだなあ!」
そして訪れた6月の第3日曜。
父の日は子供達の頭からすっぽりと抜けて、昌行は枕に涙を濡らして一日を終えたのだった。合掌。

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 今回は健君メインで行くつもりだったんですが、あまり目立たなかったですね。昌行お父さんは一言しか喋ってないし(笑)。
 皆さんは父の日、何かプレゼントしましたか?私は背骨をマッサージできる健康器具を買ってきました。百円均一で(笑)。ようは気持ちでしょう!ねっ♪

投稿時間:00/06/24(Sat) 19:42
投稿者名:ピンキー藤原
Eメール:saorio@wave.plala.or.jp
URL :
タイトル:坂本家の難儀な日々 第4話
「今日の体育はきつかったなー」
「オレ、サッカーならいくらでも平気」
「剛はサッカーになると目の色変わるからね」
剛達が笑いながら教室に入ってくると、シンと静まり返ったいつもと違う空気に三人は顔をしかめた。
「どうした?」
長瀬が近くにいたクラスメートに尋ねる。
「給食費が盗まれたらしいんだ」
「え…?」
「私、放課後先生に渡そうと思ってちゃんとランドセルの中に入れておいたのに、なくなってるの」
半泣きの女の子を見て、三人は顔を見合わせた。
「体育の授業が始まる前まではちゃんとあったらしいの。女子は更衣室があるけど、男子は教室で着替えてるでしょ?男子の中に犯人がいるとしか考えられないの」
クラス委員の女子が、皆に言い聞かせるように豪語する。
「オレじゃねーよ!」「僕だって違うよ!」
男の子達は口々に自分の無実を証明しようと声を張り上げる。
「剛君、確か先生に言われて忘れ物を取りに行ったわよね」
皆が一斉に剛に注目する。
「オレじゃねーよッ!」
剛は大声で怒鳴った。
「じゃあ他に誰がいるのよ?最後に教室を出たのは剛君でしょ?」
「……」
剛は何か言いたそうにしていたが、これ以上口を開かなかった。
「剛、お前やないやろ?」
「そうだよ!剛の家は確かに裕福じゃないけど、コイツは人のものを盗むようなヤツじゃねーよ!」
側にいた長瀬と光一が庇うようにクラスメート達に言い募る。
剛は、そんな二人の背後で俯いていたが、踵を返すとゆっくりとドアに手をかけた。
「剛!」
友人達の叫びを背中に受けて、剛は教室を出て行った。

ホームルームが始まっても、剛は戻って来なかった。
担任は「証拠もないのに坂本が犯人と決め付けるのは良くない」と生徒達に言い聞かせた。
じゃあ剛の鞄の中身を調べてみようと言う事になり、担任と長瀬達がランドセルや机の中身をひっきりなしに調べてみた。
しかし給食費は出てこなかった。
そんな折、剛が教室に帰ってきた。
「坂本、お前が取ったんじゃないだろ?」
クラスメート達の視線を一身に受けて、剛は担任に尋ねられた。
「…オレが取った」
「え…?」
「オレん家、貧乏だし、色々買いたいものもあったんだよ。もう全部使っちまった」
クラス中が何ともいえない表情で絶句する。
「剛…嘘だろ?」
長瀬達の声にも剛は何も答えなかった。

放課後、職員室で剛の母親が担任に呼び出された。
「誠に申し訳ありません!」
博子は何度も深々と頭を下げた。
「もう無くなってしまったのはしようがありません。今後は二度とこういう事が無いようにお願いしますね」
「はい!もちろん生徒さんの給食費はちゃんとお返し致します!今回は家の子が本当にご迷惑をおかけしました。ほら!アンタも誤んなさい!」
隣の剛の頭を抑え、博子母さんは幾度も担任に謝罪した。
「剛!家は確かに貧乏だけど、人様のものを盗むような子に育てた覚えはないわよ!」
担任の前で、ついに痺れを切らせた博子は半泣き状態で剛に怒鳴りまくった。
「だから誤ってるじゃねーか。悪かったって…」
口を尖らせ、そっぽを向く剛にいよいよ堪忍袋の尾が切れた博子は、勢い余って剛の頬に平手打ちを食らわせた。
「お、お母さん!落ち着いて!剛君も大分反省しているようですし」
担任が慌てて止めるが、
「いいえ!子供の不祥事は私たち親の責任です!私の監督不行き届きでこんな事が起きてしまったのですから!」
博子は担任に土下座する勢いでひたすら頭を下げた。
ビンタをされた剛は無言でその母親を見ていた。
「あの…」
背後の声に振り返ると、クラスメートの吉田がおずおずと職員室へ入ってきた。
「実は…給食費を取ったのは僕なんです…」
「え…?」
「剛君は関係ないんです。僕がやったことなんです」
担任と博子は唖然とする。
「吉田、いいよ。もう…」
剛は吉田を庇うように首を振った。
「剛君は僕の身代わりになってくれたんです。僕、どうしてもお金が欲しくて…」
「吉田…本当なのか…?」
「はい」
吉田は剛に振り返ると「剛君、ごめんね。ありがとう」と言って、担任に盗んだ給食費を渡した。

その後、クラスで開かれたホームルームで剛の無実が証明された。
吉田は母一人子一人の母子家庭で、今母親は病に倒れ、入院中だと言う。
親戚に世話になりながら治療を受けているが、ただでさえ働き手のいない家庭では入院費が嵩み、随分と苦労していたらしい。
たかだか四千円でも、吉田はこのお金で母親の入院費の足しにならないかと思い立った結果、こういう事件が起こったことを担任は生徒達に事細かに説明した。
剛は、そんな吉田の境遇を知っていて自ら犠牲になったことをクラスメートに告げると、皆は少しでも剛を疑ったことを口々に誤った。

学校の帰り道、博子と剛が家路へと並んで歩いていた。
「剛、ごめんね。疑ったりしてて」
「いいよ…もう…」
「…頬っぺた痛かった?」
「へっ!ハエが止まったかと思ったよ」
剛が肩を竦ませそう言うと、博子はクスクス笑いながら剛を見下ろした。
「ねえ、剛。母さん剛と手繋ぎたくなちゃった」
「はあ〜?何言ってんだよ!オレ6年生だよ!」
「いいじゃない!最近全然繋いだことないし」
「やだよッ!そんな姿クラスの奴等に見られたらオレ生きていけねーよッ!」
「あそこの曲がり角まででいいから!ね?後でアイスクリーム勝ってあげるから!」
その言葉に剛はしばらく躊躇した後、キョロキョロ周りを見渡しながら人が居ないのを確認すると、乱暴に博子の手を掴んだ。
「剛、もっとゆっくり歩いてよ〜」
「早くしないとクラスの連中に見つかっちまうだろ!」
足早に手を引っ張る剛に、博子は楽しそうに笑いながら手を握り返した。
「大きくなったわね〜。昔は随分小さかったのに」
「何でもいいから早く歩いてよ!」
博子の笑い声と剛の怒号が、夕焼けの道に長い影を作り出していた。

あれから数週間後、吉田の母親が無事に退院した。
坂本家を訪れた吉田と吉田の母親は、剛や家族に心から謝罪し、この事件は穏やかに終止符を打った。
「剛、偉かったね」
「でも良かったね。お母さんの病気も治って」
吉田家が持ってきた菓子を食べながら、家族達は談笑していた。
父「家の子は皆良い子ばかりだ!父さん誇りに思うよ!」
快「誇りに思うなら、もう父ちゃんこれ以上お菓子食べないでよ」
父「何でだよ!オレは除け者にする気か?」
准「普通、親は子供優先に食べ物をあげるんやないの?」
父「それは裕福な家庭の話だろ?家は弱肉強食なんだよ!」
母「貧乏はお父さんの責任でしょ」
子「そうだそうだ〜!」
父「結局いつだってオレの責任なのね…トホホ…」(泣)
昌行父さんの受難の日々は続く。

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 今回はちょっぴり苦手なシリアスで行ってみました。(これが?)
 剛君メインのはずだったのに、どっちか言うと博子母さんの方が喋ってたカンジ(笑)。
 昌行父さんは相変わらずオチで使わせて頂きました。だって動かしやすいんですもの!(笑)

投稿時間:00/07/02(Sun) 14:18
投稿者名:ピンキー藤原
Eメール:saorio@wave.plala.or.jp
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タイトル:坂本家の難儀な日々 第5話
7月に入ったというのに相変わらずの雨模様。
坂本家の夕食の席では、三人の子供達が母親が運ぶ夕食をスプーンでちゃぶ台を叩きながら待っている。
奥の畳間では、父親昌行が携帯と新聞を片手に生真面目な顔で会話中。仕事かと思えば競馬予想の意見の交わし合いである。
母「それにしても准は遅いわねー…。今夜は准の好きなカレーなのに」
快「そう言えばアイツが夕飯に遅れるなんて珍しいな」
健「誘拐された…ってことはないよね?」
剛「アイツが誘拐されるタマかよ」(ハメッチングの姿を思い出し下さい)
父「そんな言い方ないだろう!でも誘拐は困るな…。家には身代金なんて用意出来ねーし…」
母「あなた、また競馬に行く気?」
父「へ…?な、何言ってんだい母さん!明日は釣りだよ!大漁に釣ってくるからね!」
健「父さん…耳に赤鉛筆さしっぱなし…(ぼそっ)」
母「お父さんは今夜は晩ゴハンぬき!」
父「え!ちょ、ちょっと違うんだよ!母さん!博子ちゃん!機嫌直して〜!」
相変わらず威厳のない父親の嘆きに、息子達は知らん振り。
「ただいまー…」
「あっ!帰ってきた!」
待ちかねた准一の声に、母博子は昌行をエビ固めから解放するといそいそと玄関へと足を運ばせた。
「おかえ…」
博子の声が途切れた。昌行も不審に思い、咽ながら顔を覗かせる。
「…!」
そこには困ったような准一の足元で、一匹の子犬がびしょ濡れになって大きな黒目を瞬かせていた。

「ダメったらダメっ!!」
「父ちゃん…そんなこと言わんと…」
相当雨と泥にまみれていた子犬は、風呂に浴びせて綺麗にし、今は部屋の中で楽しそうに健たちとじゃれ合っていた。
准一の話では学校の帰り道、友達と一緒にこの子犬を見つけ、こんなに濡れて可哀想にな〜…と撫でていたら妙に懐いてしまい、友達と必死で逃げ回っていたが楽しそうに追いかけてくるばかり。友達の家では既に犬を飼っていて、准たちが飼えないか、と言われたが勿論この貧乏家にペットを飼う余裕などないのは知っている。しかし一向に離れようとしない犬がここまでついて来てしまったのだという。
「いいじゃん。コイツ可愛いし!オレ達も面倒見るの手伝うし」
「兄ちゃん…」
兄達は面白い玩具を見つけたようにゲラゲラ笑いながら子犬と遊んでいた。
「そりゃな、オレも動物は嫌いじゃないよ。でも家にはこれ以上生き物を育てる余裕はないんだよ」
「だったらオレの飯代から差し引いてもええから…」
「准…、これ以上父ちゃんを悩ますなよ…」
腕を組んで溜め息をつく父親を前に、准一は何も言い返すことが出来なかった。
そこへ、准一の心中を察したように子犬が尻尾を振りながら擦り寄ってきた。
「ごめんな…やっぱりお前のこと置けないみたいや」
准一は子犬の頭を撫でてやりながら、寂しそうに微笑む。
重い空気が漂う中で、誰もが口も利けず准一にじゃれる子犬を見ていた。
「…分かったら捨てて来い」
昌行が絞るような声で言った。

オレも一緒に行こうか?と言う兄達を断り、准一は「元居た場所に返してくる」と言って犬を抱き抱え、家を出ていった。
しかし一時間経っても准一は帰ってこなかった。
「この雨だし、車にひかれたってことはないかしら」
博子は居てもたってもいられないと、傘を片手に家を飛び出そうとする。
「オレ達が行くから、母さんは家で待機しててくれ」
昌行は博子から傘をむしり取り、快彦、剛、健と共に手分けして、准一の姿を探しに雨の中へと走り抜けた。
そう遠くへは行っていないはずだし、男達は准一が立ち寄りそうなところをくまなく探索する。
大声で弟の名前を叫びつづける息子達に対し、昌行は一人罪悪感に似た嫌悪感と准一の安否を気づかった。
「あ…」
公園の砂場の影で、はたして准一はいた。
傘もささずにしゃがんだまま、じゃれる子犬の頭を撫でている。
昌行は取り合えず安堵したが、いきなり呼ぶことも出来ず、黙ったままその准一の様子を木の陰から隠れるように眺めていた。
「ごめんな…。今度はもっと金持ちの家に拾われるとええな…」
悪かったな…貧乏で…。
昌行は准一の言葉にむっとしながらも、そのままで聞いていた。
「オレな、実は弟が欲しかってん…」
子犬の鼻に顔を近づけ、言い聞かすようにに顔を撫でる准一。
「一度おかんにな、弟欲しいって頼んだことがあったんや」
へー…初耳だな…。
「そしたらな、これ以上人間が増えたらアンタのご飯も半分になるわよって言われて、やむなく断念したんや」
准らしい諦め方だ…。
「おとんのこと、悪く思わんといてな…。あれで結構優しい所あんねんで」
おお!准ちゃんいい子だ!(泣)
「目つきも悪いし、ギャンブル大好きだし、おかんにはいつも包丁で追っかけまわされてる情けない父ちゃんやけど、ホントは優しいんやで」
あんまり誉められてる気がしないな…。
「オレな、実はお前と同じで捨て子かも知れへんねん」
は…?
「だってな、オレだけ何故か関西弁やし、B型なんやで。おかしいやろ?」
それは単に作者が面倒で何も考えていなかっただけなんじゃ…。
「なあ…このまま二人で本当の親捜しに旅に出ようか?」
本気とも冗談ともつかないような事を呟き、准一はしばらく子犬を見つめていたが、寂しそうに再度犬を力いっぱい抱きしめた。
「元気でな。車には注意するんやで」
准一は目に溜まった涙を拭うと、意を決したように立ち上がった。
「そいつ、弟にしたかったのか…?」
准一がはっとして声の方に振り返ると、傘を差し微笑む父昌行の姿があった。
「父ちゃん…」
「いいよ。家の五男坊にしよう」
「え…?」
「貧乏でも、そいつ一匹くらい養える金はあるさ」
「父ちゃん…ええの…?」
驚いたように聞き返す准一に、昌行は傘をさしてやりながら濡れた子犬の頭を撫でてやった。
「その代わり、ちゃんと面倒は見ろよ。散歩も毎日やる!分かったか?」
「うんっ!」
いつの間にか上がった雨に、快彦達も昌行達の姿を見つけ、大喜びで准一に抱きついた。
嬉々として博子の待つ家路へと向かいながら子犬を抱え、楽しそうに談笑する一家。
剛「なあ、准。コイツの名前もう考えたの?」
准「うんっ!考えたで!オレの初めての弟やから、嵐ッ!」
快「何で嵐なんだよ!」
健「読者は皆納得してるよ」
昌「嵐か〜!オレらも呑み込まれないように頑張らないとな〜!」
准「よしっ!お前の名前は今日から嵐やで!」
嵐を高く抱え上げ、准一が叫ぶと元気よくワン!と吠える。
そして見事坂本家の一員になれた嵐くん。健や剛、快彦が足元でじゃれまくる嵐を追っかけまわす。
その様子を微笑しながら見ていた昌行に、准一は話し掛けた。
「父ちゃん、ありがとな」
「まっ!しょーがねーべ。でもこれからは捨て子なんて二度と思うなよ!お前は正真正銘オレ達の息子なんだから」
「うん!でへへ〜!」
すっかり雨雲が消えた夜空に、綺麗な星が満天に輝いていた。

 
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 私なりにカッコイイ昌行父さんを演出したつもりだったんですが、どうでしょうねえ(あれで?)。
 准くんは小学四年生の割には随分大人な言葉を発してたような気が…。
 そういうツッコミは優しいVファンならしませんよね(笑)。でも犬を呼ぶとき「嵐!」は恥ずかしいかな…?(笑)

投稿時間:00/08/20(Sun) 09:26
投稿者名:ピンキー藤原
Eメール:saorio@wave.plala.or.jp
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タイトル:坂本家の難儀な日々 第6話
天気は見事なまでの日本晴れ。
ヒマワリが高々と咲き乱れ、蝉の声が忙しなく響き渡る。
道路は蜃気楼に包まれ、暑さのためアスファルトが変形しつつあった。
そんな都内下町の一角に、坂本家は存在する。
「暑い………」
「風鈴がピクリとも動かないよ…」
畳間で大の字になり腹を出して寝ているのは、坂本家次男坊の剛。
三男坊の健は持っているウチワを仰ぐ気力もなく、放心状態。
参考書を開いたまま、ちゃぶ台に突っ伏しているのは長男快彦。
「なんや兄ちゃん達、だらしないなあ」
そこへ四男の准一がカキ氷を片手にやって来た。
剛「お前、何杯目だよ…」
健「あれ?たしかさっき、いちごシロップ切らしたって言ってただろ?何かけたんだよ?」
准「カレー。お昼ご飯の残りがあったから一緒にしてみた」
満悦の笑顔で答える准一の手には、見るも恐ろしい食物の姿が。
健「ったく。お前はこれだからいつまでたってもガキなんだよ」
准「でも兄ちゃんたちよりは成長してるで。オレ」
天地がひっくり返っても言ってはいけない事を口にし、速攻で袋叩きに会う准一。
「暑いのに喧嘩すんなよ〜…よけい暑くなるだろ」
快彦が顔を上げ、呆れたように言った。
その快彦の影から、父昌行が賛同すべく登場。
父「全くだ。暑い暑いと言ってるから余計暑く思うんだよ。心頭滅却すれば火もまた涼しだ」
健「そんな事言ったって、暑いもんは暑いじゃん!この時代にクーラーないのって日本中でウチだけじゃないの?」
父「北海道もないって言ってたぞ」
健「ここは東京じゃんっ!あぁ〜もうこんなウチやだ〜〜〜〜」
父「叫ぶなよっ!ウチが貧乏みたいじゃねーか!」
子「貧乏だろ〜〜〜〜〜〜〜どう見てもっ!」

「ただいま〜!」
「あっ!母ちゃんやっ!メシ〜〜〜〜〜!」
縋り付いてきた准一を投げ倒し、母、博子が「そんなことより…」と一同を意味深の笑みで見渡す。
「じゃ〜〜んっ!これ!何だと思う?」
博子が手にしているのは二枚のチケット。
「ハワイ行きカップルご招待…?」
快彦が読み上げた肩書きに、一同は目を見開いた。
「ハ、ハワイ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ?!」
「そうなのっ!さっき駅前の福引で当たっちゃったのっ!」
「マジで〜〜〜〜〜〜〜っ?!」
町内中に響くような大絶叫が坂本家を包み込んだ。
「オレ等、ハワイに行けるの?」
「そう!でもカップルだから二人しか行けないけどね」
「ふ、ふたり…」
全員が探るように目を合わす。
「やっぱここはカップルってことだし、夫婦でって事だろ?なあ母さん」
昌行が満面の笑顔で博子の肩を抱く。
剛「何だよそれっ!可愛い子供のことが心配じゃねーのか?」
快「親ってのは普通、子供最優先に行動するもんじゃねーの?」
ブーブー文句をたれる体格の立派な子供達。
博子「お父さん。そうしたいのはやまやまなんだけど、私この日は近所の奥様達と鈴鹿に行く約束してるのよ。だから、あなた達で決めてちょうだい」
母の言葉に、「じゃ…この5人のうちの誰か…ってことだな…」と呟く健。
「よっしゃーーーーーっ!じゃあ公平にジャンケンだ!」
五人の男達は輪になって勝負に出るべく、腰を屈めた。
「ワイハを目指してっ!最初はグー!ジャンケンポンッ!」
「グワーーーーーーーーッ!!」
勝者と敗者の雄叫びが一気にこだまする。
勝負は一回で決まった。
念願のハワイ行きを勝ち取ったのは快彦と准一。
「ハ、ハワイやっ!アロハオエや〜〜〜〜〜〜〜っ!」
「リゾートホテルだ!クーラーの中で寝られるっ!」
長男と四男は抱き合って喜んだ。
その二人を、恨めしそうに見る三人の男達。
健「おい、准。お前は嵐の面倒見なきゃいけないだろ?」
准一は庭先で佇む嵐(犬)に振り返り、側に寄っていくと何やら話をし始めた。
准「大丈夫やって。安心して行ってこいって言うてるで」
健「犬が喋るわけねーだろっ?適当なこと言うな!」
准「オレ達は心が通じ合ってるから分かるんや。異人原人ってヤツや」
健「それを言うなら以心伝心…」
剛「快兄は受験生だろ?今が大事な時期じゃねーの?」
快「たまには生き抜きも必要だろーが。大体こんなクソ暑い所で勉強がはかどるワケねーだろ」
剛「てめーは年中生き抜きしてるだろーが…ハワイに参考書持っていく気もないくせに…」
「まーいいじゃないの。社会勉強だと思って二人でバカンスを楽しんできたら良いじゃない!」
博子が楽しそうに快彦と准一の肩を叩いた。
父「そうだな。気をつけて行って来い!」
「うんっ!」
快彦と准一は元気良く頷いた。

そして旅行直前。
父「他の皆さんに迷惑かけないようにな」
快「うん、分かってるよ」
玄関先で、坂本一家は長男と四男の見送りをしていた。
健「オレ、マカダミアナッツ大漁にね」
母「私はシャネルの5番ね」
剛「オレはカメハメハ大王のサインね」
快「…わ、分かった」
准「嵐のこと、よろしく頼むで!オレの弟は兄ちゃん達の弟なんやから、可愛がってな」
健「あんな毛深い弟持った覚えないけど…」
そんな会話が交わされた後、二人は真新しいアロハシャツを着てハワイへと旅立った。

カラスが鳴く頃、坂本家の玄関が弱々しく開いた。
「ただいま〜…」
「へ?あの声は…」
博子と剛たちが慌てて玄関先に駆けつけると、
「パスポート作るの忘れちゃってて…ツアー追い出された…」
快彦と准一が朦朧とした顔で突っ立っていた。
「……おかえり」
それだけ言うのが精一杯の博子たちだった。

じゅんいち日記。
 きょうは、あこがれのハワイへいく予ていだった。
 でも、パスポートがないといけません。といわれた。
 ぼくのなつやすみは、ゆめでおわった。


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 う〜む…。ありがちがオチになっちゃってすみません。
 夏休み中に一話くらいは夏休みネタを書きたいと思っていたので、まあ自己満足なだけのお話です。
 



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