楽しい話 46

蔵王物語 4



最終日の2月20日。

空に浮かんだジョウ‥‥いや、約束の印事件の興奮さめやらぬまま迎えた昨夜の夜がどんなに盛りあがったかはとてもここにはヤバ‥‥じゃなくって、筆舌に尽くしがたいので略すが、ただその会話から生まれた今週のキャッチフレーズ。

それは

「毎日ぎょうさんエエコトしてまっせー♪ (東京在住RG子さん作)」

このフレーズから事の次第を妄想して頂きたいと思う。(謎)

そして今日は東京に帰る日だ。

午前中だけ滑って、午後はゆっくりお土産を見ながら玉コン(蔵王名物の食い物)を食い、新幹線の中で酒盛りをして酔っ払いながら自宅に帰る。

そういう日になるはずだったんだ、予定では。

まさか、一生忘れられない日になろうとは‥‥‥‥‥‥(遠い目)




この日の午前中、滑りに出たのはわしとひっつーだけだった。

りぎ子は相変わらず原稿にかまけてて、スキーに来ているのにわしらと一緒に人生ゲームをする事もなくさっさと寝るし、

おまけに朝、午前3時に起床して窓辺にある宿の机でベタを塗っていたために、わしらが起きた頃にはたいそう眠そうだったのだ。

なので、今日はわしは滑らないというりぎ子を宿に置き、わしとひっつーは二人で滑りに出た。

最終日なので初心者ゲレンデでしか滑るつもりは無かった‥‥そしてその言葉とおりに初心者ゲレンデにしか行かなかった。

そう、それはまさに初心者ゲレンデの真中で起こった。

あっ! と思った時には、わしの目の前でひっつーとどっかの知らんおっさんが激突。

おっさんはよろけただけで済んだが、ひっつーは女の子なので転倒してしまった。

だけなら良かったんだ、転倒だけならな。そんなのはひっつーなら当然だからだ。

何故かというと、ひっつーというイキモノは、当たり・当たられ運が人の10倍くらいある奴なのだ。

嘘みたいなので我が目で見るまで信じられないんだが、よそから彼女が滑るのを見ていると、普通にゲレンデを滑っている彼女に向かって人が突っ込んでくるという信じられない光景が観察できる。

それはひっつーが滑っている時だろうが、コケている時だろうが、立ち止まっている時だろうが、関係ない。

とにかくなんかの流星群みたいに人が寄り集まってくるのだ!(はい、ここ盛りあがるトコね)

だから今回もさして慌てる事はなく、怪我の確認をして立ちあが‥‥‥るハズだったんだ。

「りんちゃん‥‥‥‥‥‥痛くて立てない‥‥(涙)」

そう、この一言から全てが始まった。

とりあえず、パトロールのお兄さんをとッ捕まえてタンカを出してもらい、そのまま病院送り。

診察と治療をしてもらっている間に、わしは宿でココアを飲みながら平和にベタを塗っているりぎ子に電話を入れた。

「りぎ、ひっつーがぶつかって、いま病院なんだ。」

「またまた、なんの冗談ー?」

「‥‥‥現実だ。」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥(゚ロ゚)

で、その後の対処を打ち合わせ、わしは彼女のウェアーとスキーとストックと靴を持って宿にリターン。

しかし、病院から宿までは2キロ程の上り坂‥‥‥。

いくらわしが健康であっても、スキー板4枚にストック4本、スキーウェアにスキー靴を抱えて、自分もスキー靴のまま2キロ程の上り坂を歩く体力は無い。

どうしたもんかと思って(本当に)頭を抱えていると、次の負傷者を運んできたパトロールのお兄さんが!

色の黒いマッチョなお兄さんだったが、この時のわしの目には彼は真っ白い麗しい天使に見えた。

「すいません!ゲレンデに戻るなら乗せて行ってください!!!(乗せてくれなきゃ祟る!!!)

という気迫が通じたのかどうかしらないが、お兄さんは快くわしを同乗させてくれて、とりあえずゲレンデの下までは車で戻れたのだった。

その後、板と靴を抱えてウェアーを腰に巻きつけた怪しげな女がリフトに乗りゲレンデを滑り降りていく光景が見られたのだが、この時のわしは通常では考えられない持ち物を持ったグラサン装着の派手な化粧をした危ない人になっていた為、行く先々で人が避けていってくれたのがこの場合は有難たかった‥‥‥と言っておこう。

で、宿でりぎ子と合流し、荷物を纏め、一番忙しい昼時にチェックアウト(をした迷惑な客として記憶されただろう:涙)をし、病院までひっつーをお迎えに行ったのだった。

そして病院のドアをくぐると、看護婦さんが「ああよかった、戻ってきてくれて!」という挨拶で出迎えてくれた。

戻ってくるって言って行きましたし、友達がおるんですから戻ってきますよ普通‥‥そう思われなかったわしって一体どんな人間に見えていたんですか?

そうつっこみたかったのだが、看護婦さんにはお世話になっているのでそれは心の中で呟くに留めるのだった。

そして病室に寝ていたひっつーに洋服を渡しつつ、「どうだった?」と聞くと

「折れてるってー‥‥‥あはは。」

(゚ロ゚)

骨折う!!!!!?????

それからが大変だった。

なにがどう大変だったかはご想像にまかせるが、松葉杖を調節したのもはじめてなら、足折った奴との旅行も未経験なもので(経験があってもなんだが)バスじゃだめタクシー呼んで駅に行ったら車椅子を借りて指定席取らんとだわ家族に連絡して会社には土産買わないとだし東京戻ったら入院だ〜〜〜っ

まあ、こんな具合に嵐の如く予定を立て、予定をこなし、東京駅からはなんとびっくり救急車♪ ←?

蔵王の病院では明日会社に行かないととかドフザケたタワケ事を言っていたひっつーも、新幹線の中で痛みが増してきたらしく、救急車には大人しく乗ってくれました。

乗らなかった場合には強制的に連れこむ同盟が、わしとりぎ子の間では結ばれて居り、そのために必要なコーヒーと目薬も準備されていたんだが、使う機会が無かったのが心残りである。(おい)

そして救急隊の親切なおじさんたちと談笑しながら(よいのかこれで‥‥)病院に行き、病室で同部屋のお姉さんも交えて談笑し、隣の病人に煩いと怒られ(←人として大問題)、終電の都合でご家族とすれ違いなまま、わしとりぎ子は帰路についたのだった。

そうして帰りの電車の中では、午前10時の衝突の悪夢から怒涛のように過ごしてきた時間の疲労が一気に。(笑)

やはり、人間慣れない事をするとイカンということだろうか。

しかしなんと貴重な経験をしてしまった‥‥‥

っちゅーか、まさかこんなスペクタクルな落ちが最後にくるとはね。(遠い目)

そりゃ、ネタにあふれた旅行にしてくれとは思ったが、ちょっとばかり方向が違うぜ運命の女神様よ。(謎)

こうしてわしらの旅行はとりあえずの終りを告げたのだった。