海をけるが如く




せっかくの海があって、せっかくの船を持つんだから

交易王に、俺は、なる!!!

と公言などをしてみた。

そして宣言通り海のシルクロードならぬパールロードを開拓し、真珠の交易で180万ポッチ儲けた真珠転がしの成金小間使い。

であるのと同時に、あのテッドに命令できるという、ファン垂涎のコマンドを持つ4代目の天魁星。

坊っさんですら成し得なかった偉業(=テッドに命令)を、最初からデフォルトコマンドとして持っていた為、幻想4にさしたる食指を動かしていなかった多くのプレーヤーに限定版を予約させた、コ○ミ営業部の切り札。(謎)



彼の下克上ぶりは、同じく孤児ではあるが養子になれた2主を超え、小間使いからトップに登りつめたアメリカンドリーム。

そして身分では、経済力を除けば大貴族である坊っさんを超え、小国ながらも一国の王子(多分)というトゥループリンス。

人々を腕一本・言葉ヒトツで動かしながらもいざと言うときは最前線に立ち、背中に女性をかばうというさりげないフェミニストぶりを随所に見せ、半ズボンから惜しげもなく脚線美を披露する気前のよさとかつての怨敵たちをも仲間に迎える度量の広さをもって、すべての宿星の頂点に君臨した男前。

その強い目と笑わない表情、最初から最後まで誰かに頭を下げるそぶりなんぞ微塵も見せないでかい態度は、孤児で小間使いで半ズボンから連想していた世間の下馬評を大きく覆し、小間使いという肩書きをすっかり忘れさせてくれた。

事実、あちらこちらの見識者からは 「お前をつけとけば心配ない」 だの 「使用人にはもったいない」 だのと、出自からくる扱いを惜しまれていたことから、騎士団においても相当の実力者であったことが伺える。

伺えるが、そもそも小間使いでありながら、なぜあんなに見事に二刀流なのか。

騎士団の演習以外にどこで何をやって二刀流になったんだ、小間使い。

ラズリルの裏社会で君が何と呼ばれているのか白状したまえ、小間使い。


そんな謎めいた彼の天魁星たる本領が最も発揮されたのは、例の幽霊船のイベント終了後。

陸についたら下ろせと仰せになる幻水史上最凶と謳われる魂食いの継承者、初代妖怪アズキ研ぎの意見すらも、視線と無言の圧力で黙らせた挙句、覆させて協力協定→そのままなしくずしに仲間に引きずり込んだ一連の手腕は見事のヒトコト。

「宿星は視線で殺せ」 という天魁星の醍醐味を凝縮した重要なシーンであった。

また、この一件は唯一の目撃者であるオベル王の著書 「その時、歴史は動いた」の中でも 「俺はあの時、二人に挟まれる位置に立っていた迂闊さをのろった。あんなに静かで恐ろしいプレッシャーは妻が怒った時でさえ感じたことはない」 と紹介されたらしいが、真相のほどは色々と定かではない。



以上のような事実から、罰の紋章が歴史上最弱の紋章であったとしても、持ち主の気質がその役立たずさ加減を補ってなお余りあるゆえに、紋章そのものは弱かろうが役立たずだろうが問題はないのである。

その証拠に、強制イベントで戦艦を焼き払う以外は罰の紋章なんか使わなくても何も困らなかったはずである。

また、こんな主人公だからこそ罰の紋章に選ばれたのも頷ける。

思い起こせばブランドの事件で紋章が4主だけ守ったのは、出会った時から恋、ではなくて4主の資質を見抜いたゆえであったと推察しても無理ではあるまい。

使用するたびに人の悲鳴や断末魔の音を奏でる素敵な特技を持った紋章だが、役立たずだの最弱だのと良いように蔑まれている事実を踏まえて聞くと、その悲鳴は

「俺は弱くて……いつもほかの紋章たちから役立たずだって笑われて……っ!でも俺だって好きで最弱なんじゃないんだ!ちゃんとした主人に憑けば命を削らなくても働けるんだよ!! あんたと一緒だったら強くなれる気がするんだ!! 頼む!俺を選んでくれ!!俺を男にしてくれぇっ!!」

という罰の紋章そのものの涙の訴えであることが解明された。



ところで今回は、108星を集めても罰の紋章が役に立つ紋章に変わったり、死んだ者が生き返ったり、敵軍の総帥が味方になったりすることは
無い

まったくもって何にも無い。

それでも4主は淡々と味方をまとめ108星を揃え、サクサクと敵艦隊を撃沈しまくりボカスカとラスボスたちを殴り倒して物語を締め括られた。

毎回どの天魁星にも夜這いをかけてきては、最終決戦前にもったいぶったご褒美を下さるどっかのバランスの執行者の助力は無し。

4主は自力のみで戦い抜き、グッドエンドを手に入れたのである。



天魁星として初のその偉業、
我々は決して忘れない。



予断ですが、当宿におけるデフォルト名前は、4主=セト。軍=ソラリス。船=レンディル。瀬戸内海からどう発展して名づけたのかもう覚えてないが、今では瀬戸内海に申し訳ない気分になるほど(テッドを連れて)無用な殺戮の日々を送っている。