
外伝のパッケージを見た殆どの人に「あ、グレミオ」と思われ、その次は「坊ちゃんはどこ?」とアウトオブ眼中扱いに落とされ、更に坊っさんが居ないことで「グレミオにしては若い?あ、傷が無い!」と不信感を抱かれ、ここまで来てようやく 「え?誰、君?………ナッシュ?………ふーん」と認識してもらえ、トドメに「……やっぱグレミオに似てる。」という感想を抱かれた不憫な人。裏を返すとみんなグレミオをこんな感じの美人さんなのだと思っているわけで、ついでに彼がハルモニア系だったらすげーおいしい設定なのに!などとタワケタ妄想に陥る馬鹿者も世の中には居たらしい。(←わしだよ)
その実態は、いわずもがな幻想水滸伝外伝の主人公。ハルモニアの大貴族でエエトコのぼんぼん。
現在はお家が没洛したので、ホストになれば一夜にして銀座のナンバーワンだ、というくらい出来の良い顔と身体をしているくせに、何を勘違いしたのか特殊工作員なんぞに就職して生活費を稼いでいる。
幻想1の主役も同じ身分だが、こちらがただの「坊ちゃん」と呼ばれているのに対して、彼はは22歳にもなって未だに「ラトキエ家のお坊ちゃん」と呼ばれており、この「お」がオプションで付いてくるところに、さりげない彼のへこたれぶり(注:誉めている)の神髄があることを見逃してはならない。
真の紋章探索という左遷されたんじゃねーの?と言いたくなるような任務で同盟都市に来た彼は、そこで幻想本編のソロリティーメンバーたちに会いまくり、言葉を交わし共に戦い、その上奇麗なお姉さまから「いけませぬ」「よいではないか×2」「あ〜れ〜」(以下略)ということをされる。羨ましいくらい美味しい体験三昧の旅路だが、その前には必ず幸・不幸の収支を合わせる決算書のごとく、幸運に見合うだけの不幸に遭遇しなければならない。
これは彼の持って生まれた星巡り、そして不幸な目に合わないナッシュに何の価値があるというのだろう。いや、ない!という製作者側の英断の賜物である。
外伝中の 「これまでさんざん不幸な目に合ったんだからこれくらいラッキーがあってもいいはずだっ(涙)」というセリフには、彼が辿った運命の全てが込められている。
不幸な目に合えば合うほど笑いが取れるという特技技能を持った人材というなら、今までにもフリ○クやジ○ウイという逸材が居たが、正直言って自分が生きているうちに彼らよりも不幸が似合うキャラクターにお目に掛かれるとは思わなかった。
ナッシュの特筆すべき点は、全てを悟り全てを諦めきった笑顔で 「かわいそうな俺……がんばれ、俺……(泣)」 という声無き叫びを上げたり、「誰か………助けて……」 だの 「…………帰りたい………」 だの、腹を抱えて転げまわるほど正直な泣き言を惜しみなく見せてくれる、その潔さにある。
黒焦げになったり土まみれになったり押しつぶされたり失神させられたりするそのチャーミングな姿は、外伝にさしたる期待を持っていなかった多くのプレーヤーのハートを見事にゲットした。
右手に「真なるとばっちりの紋章」 左手に「真なる地面と仲良しの紋章」そして額に「真なる弄ばれる紋章」を宿している彼は、今日も元気に365日24時間トラブルから愛されて続けている。
ところで外伝のシステムだが、これは忍耐力を養うにはちょうど良い。取説には 「幻想水滸伝を知らない人、そして己の寛大さに自信が無い人は絶対にやらないで下さい!」 と注意書きが書いてあるくらいだ。(そこ、本気で取説を確認しないように)
ちなみに上記の理由に当てはまるため外伝をやれない方のために概略をご説明すると、
「あなたを見るたびに胸がときめくんです♪お義兄さまと呼ばせて下さい。」というストーカーを、「地球上からいなくなれ この変態!!」 と叩き斬ったことからはじまる、万年金欠病と戦いながら紋章探しの任務と給料を巡って大陸を奔走する青年ナッシュの、涙と笑い、愛と嫉妬、野望と感動に溢れたヒューマンドラマである。
どうせだから脱線ついでに書かせてもらうが、ザジよ…………シュウやササライやレオンのような連中の罠にひっかかるのならともかく、このナッシュ(既に差別用語)にすら騙されるようでは、到底ハルモニアの胡散臭い連中の中ではやっていけなかっただろうと言わせて貰おうか。
外伝2のラストに出るSEE YOU LATERの文字に、彼の幻想本編への出現に期待が膨らむが、ぜひとも実現してほしい!これは、彼のように顔が良くて身体も良くて、しかもグローサーフルスが使用者を殺人鬼にしちゃうようなイカシタ武器で馬鹿強いという理由ではもちろんなく、こんなイタズラし甲斐のある三枚目の下僕君は、我々のおもちゃとして是非とも必要だからだ。
外伝1の1章、扉に火薬を仕込んでいる場面が「あけて〜あけて〜(涙)」とドアをカリカリする柴犬にしか見えないような彼の同盟軍入りを、わしは心の底から願っている。
(でもってついでにシエラと〜シエラと〜お〜)←正直