どうしてこんなに盗難が多い!?
昨年、9/27付けの朝日新聞の「天声人語」で、「靴泥棒は学校では日常茶飯事」という文章を読み、どこもそうなのかと、奇妙な安堵感と嘆息を吐いた。
わか校でも、靴の次盗難届けがやたらと多い。「ナイキ」の靴が流行した年は、ことにひどかった。他人のはいていた靴をどうするのかと思うのだが、生徒に聞けば一足一万円以上もするという。安物の靴を愛用している私などには驚くほどの値段だが、靴のみならず、校内盗難は発見がむずかしく、被害生徒は仕方なく上ばきで下校することになる。

盗難の多くは、体育や他教室に移動し、自分の教室をあける時や、昼休みか、授業後に起きやすい。
当初は、授業後に、体育館の下足箱や職員室前に置いておいた靴がなくなった。先生への用がすんで戻ってきたらないという。時間にして−○分ほどである。
そのうち、教室内の自分の椅子の下に置いてある靴もねらわれるようになった。前の授業か終わって教室に戻ってみるとなくなっている。まわりの者に聞いても知らないという。
被害生徒には室内や近くのトイレ、ごみ箱などを探すことを指示し、担任にも連結をとって学級の生徒たちに呼びかけてもらうことになる。
靴をはじめ、財布類は名前を書くことができないだけにいっそう所有者が分からない。それだけに同じ学級に加害者がいるとは考えたくないのだが、そうとも言えない状況になってきた。
ついこの間も移動の教室に二〜三人が少し遅れて入ってきた。トイレに行っていたと、教科担に申し出たが、本当は朝から同級生の靴に目をつけ、気乗りしない授業に行きそびれる形で靴を盗み、隠してから、授業に来たことがわかった。
こうした授業に遅れる、あるいは、途中でトイレに立つ生徒に対して意外に無防備なところがある。

最近はズボンまで被害にあう。事件は、服装点検の前後に起きた。ズボンをずり下げてはくため、裾がすり切れてしまう。とても修復困難となると、同じ体格の生徒のものと取り替えてしまうのである。被害にあった生徒は、体育の授業から帰って、自分のベルトか適してあるズボンをはいてみて初めて、自分のものでないことに気づいた。それも、通してあるベルトはまさしく自分のものだ。あまりのことに、本当の出来事かと疑ったという。
プロの学校荒らしは、一品だけということはない。しかし、手口は全く同じといえる。「瞬時に」「気軽に」「見境なく」である。「仁義なき戦い」と冗談でこ言うのだが、生徒の場合、ひとりでこっそり盗むことは少ないようだ。その周囲に何人かの人物がいるのだが、だからといって正義感溢れる情報はほとんどない。このことも教育現場では頭の痛い問題である。

明るく屈託のない生徒の顔があるだけに、とても複雑な気持ちになってくる。よその学校ではどうなのだろう。どのように対応しているのだろう。
このところわが校では、盗難届けがあるたびに、「何でそんな靴をはいてくるのか。はいてくる方が悪い」と、盗まれて被害にあった生徒を、逆に注意しているありさまだ。何かがおかしくなっている、そう思えてならない。
雑誌『ジュパンス』(高文研)より