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          表にあげた病気のいくつかを少し詳しく述べてみます。 
      脳血管性障害によるめまい 
         脳を下からみた図がありますが、まん中に太い動脈があり下のほうで2本に別れています 
        が、その太い動脈が脳底動脈(赤い矢印)で、2本に別れている動脈が椎骨動脈(黄色い矢 
        印)です。このあたりの血管がつまったり(脳硬塞)、出血したり(脳出血)すると回転性 
        めまいが出現してくるわけです。また、つまったり、出血しなくても、血液の流れが悪くな 
        るだけでも回転性めまいが出てくる可能性があります。それが椎骨・脳底動脈循環不全と言 
        われるものです(図はCLINICAL SYMPOSIA, illustrated by Frank H. Netterより引用)。 
                 
      前庭性めまい 
         図は耳と耳の奥のほうを示したものですが、三半規管、前庭と書いてあるところが障害さ 
        れると、回転性めまいが出現してきます。 
        代表的な病気が皆さんよく御存知のメニエル病です。回転性のめまい、難聴、耳鳴りが突然 
        出現してくる病気で、これら3つの症状が関連しあっています。診断基準が定められていま 
        す。めまいがするとすぐにメニエル病と診断しがちですが、診断基準に従ってこの病名をつ 
        けるべきでしょう。前庭神経炎も回転性めまい、難聴あるいは耳鳴りが出現してきますが、 
        回転性めまいと直接関連のある難聴や耳鳴りはありません。 
        良性発作性頭位性めまい症というのは、特定の頭の位置をとると、回転性あるいは浮動性の 
        めまいが出現してくるもので、その頭の位置でいるとめまいはどんどん強くなりますが、そ 
        の後弱くなってきます。1度おこすと再びその頭の位置をとっても、めまいは弱いか、出現 
        しなくなります。難聴や耳鳴りはないことが多いです。 
                     
        (図は、小松崎篤:めまいの鑑別。薬の知識、49巻9号より引用) 
      心理的原因(心因性)によるめまい感 
         めまいを訴える患者さんの約1/3はこのめまいだと言われています。家庭、会社、学校 
        などでの人間関係のストレスや疲労などが原因であることが多いようです。過換気症候群を 
        伴っていることもあります。 
      肩こりや首のこりによるめまい感 
         肩がこっていたり、首がこっていたりするとめまい感が出現することがあります。こりが 
        ひどくなると緊張型頭痛といわれる頭痛が出現してくることもあります。吐き気や嘔吐など 
        も伴うことがあります。極度の緊張、眼性疲労、精神的ストレスなどが原因となっているこ 
        とが多いようです。 
      治療について 
         それぞれの病気で治療法が異なっています。特に、脳血管障害や脳腫瘍など、すぐに入院 
        して治療しなければならないめまいもあります。めまいが出現したら、まず、医師に相談し 
        て、正確な診断をしてもらうことが大切です。 
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